続いて、本命の新型iPhone「iPhone 12」が発表された。iPhone 12は、心臓部にiPad Air(第4世代)と同じ「Apple A14 Bionic」を搭載。基本的なデザインや画面サイズはiPhone 11を踏襲しつつ、ベゼル部が薄くなっており、全体にiPhone 11よりも一回り小さく、薄く、軽くなっている。本体サイドの処理も、iPhone 5sまでのようなストレートな仕上げになっており、スタンドを使わずに本体だけで自立することも可能そうだ。また、今回から新たな小型モデルとして「iPhone 12 mini」が追加され、全体ではProシリーズと合わせて4モデル展開となった。
まず新しい機能としては、非接触充電機能を確実に機能させるために、iPhone本体に磁石を組み込み、磁力で確実に充電のスイートスポットに密着させる「MagSafe」が搭載されたことだ。もともとこの名称はMacBookシリーズの充電コネクタにおいて、磁力で端子に固定することで、ケーブルに足をかけたりして急な力が加わってもノートPCが巻き添えで落下することなく、コネクタだけが外れるという機構に付けられていたのだが、今回はApple Watchの充電器を思わせる円形の非接触充電機能に転用されたようだ(Appleはこの手の名称再利用が結構あって、古いユーザーには混乱を招きやすい)。
また、防水機能も全モデルで向上し、防水規格としてはIP68等級のままだが、iPhone 11の「水深2mで最大30分」から「水深6mで最大30分」まで向上している。さらにディスプレイの保護ガラスには、セラミック製の微粒子をコーティングすることでさらに強度を増した「Ceramic Shield」を採用し、iPhone 11の4倍の落下耐性を持つとしている。
さて、肝心の5G対応については、日本仕様についてはいわゆる「Sub 6」と呼ばれる6GHz以下の帯域だけのサポートとなる。北米版ではミリ波と呼ばれる29/38GHz(n260/n261)もサポートしているが、日本ではミリ波は26.5~29.5GHzの「n257」バンドしか使えないため、北米仕様を日本に持ち込んでも利用できない。
とはいえ、どのみちミリ波のスポットはエリアが非常に狭く限られており、現状はサポートしていなくても問題ないだろう。なお、Sub 6の帯域について、Appleのウェブサイト(日本語版)ではなぜかiPhone 12 Pro Maxだけがバンド「n71」をサポートしていないことになっている(10月14日時点)が、おそらく誤植だろう。
Sub 6だけではいわゆる「なんちゃって5G」であり、真に5Gのメリットである高速な通信を味わえないが、現状日本の5Gネットワークは4G回線を併用する「5G NSA」(Not Stand Alone)という状況であり、もともと5Gの特徴は引き出せていない。KDDIがようやく2021年からコアネットワークから5Gのみの「5G SA」ネットワークを開始するということなので、本番はそこからでも十分ということだろう。
最後に、気になっている人も多いと思うが、今回も生体認証は顔認証(Face ID)のみで、iPad Airで導入された電源スイッチ内蔵の指紋認証は採用されていない。また、充電/PCとの接続端子もLightningコネクターのままで、USB Type-Cの採用はなかった。もちろんイヤホン端子は復活していない。今回Mag Safeの採用でわかるように、Appleは外部端子を極力廃止して無線化していくようなので、イヤホン端子復活の芽はまずないと見て良いだろう。