◆PCMark 10 v2.1.2177(グラフ66~71)
PCMark 10 v2.1.2177
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
3D性能は以上で終わりだが、一応PCの「普通の用途に使えるか」の確認のためにPCMark 10も実施してみた。もうOverall(グラフ66)の時点で明白だが、Gamingを除くとどれも大差ないという感じ(強いて言えばOpenCL周りの性能が低い関係でRadeon RX 5700XTがやや不利)程度で、あとは大差ない。このOpenCL周りというのは、グラフ69のSpreadsheetとかグラフ70のVideo Editingに関係しており、その分Radeon RX 5700XTのスコアが低めという形だ。逆に言えばGeForce RTX 3080を入れたからと言ってこのあたりが高速化される筈も無いが、まぁ普通に動く事は確認できた。
一番現実のシナリオに近いのは、Office 365を利用するApplication Test(グラフ71)で、ここではどの製品でも大差ないという、当然そうあるべき結果に終わっている。
◆CompuBench 2.0(グラフ72~74)
CompuBench 2.0
Kishonti Ltd.
https://compubench.com/
GPUとしての性能はここまで評価してきた通りだが、GPGPUとしての性能評価はまた別である。今までだとBasemark GPUとかLuxMarkなんかを使ってきたが、もうどちらも古すぎる。そこで今回はCompuBench 2.0を採用してみた。
起動すると(選択できる場合は)API及び利用するデバイスの選択がまずある(Photo17)。テストは4グループ、全部で13個からなる(Photo18)。ここで行いたいテストを選んで「開始」を押すとしばらくテストを行い、最後に結果を表示してて終了である(Photo19)。
ということで結果をグループ別にグラフ72~74にまとめてみた(Computer Visionはテスト1個なので、High Quality Computer Generated Imagery and Renderingにまとめた)。Photo19を見て頂くと判るが、結果の桁がテストに応じて3桁ほど変わるので、グラフ72~74に関しては横軸を対数軸にしている。そんな訳で、グラフの高さというよりは数字で判断していただきたい。
さて、性能の方であるが、実はスペックで比較すると、GeForce RTX 3080が色々化け物である。ちょっと抜き出すと
CUDAコア数 | Boost Clock | コア数×Clock比 | |
---|---|---|---|
GeForce RTX 2080 Super | 3072 | 1815 | 1.00 |
GeForce RTX 2080 Ti | 4352 | 1635 | 1.27 |
GeForce RTX 3080 | 8704 | 1710 | 2.67 |
となる(比率はGeForce RTX 2080 Superを1.00とした場合の数字)。結果を見ると、GeForce RTX 2080 Tiは確かにGeForce RTX 2080 Superの1.2倍前後に落ち着いているが、GeForce RTX 3080はGeForce RTX 2080 Superの2倍弱、といったあたりで2.67倍にはちょっと遠い。むしろメモリ帯域(それぞれ496GB/sec、616GB/sec、760GB/sec)の比に近い。その意味では、メモリ帯域が先にボトルネックになっている感じで、フルにシェーダーの性能を生かせる状況ではない、という事だろうか。まぁそうした使い方がしたければ、HBM2を搭載したA100を使え、ということなのかもしれない。まぁとりあえずはメモリ帯域に比例する程度のGPGPU性能が得られる、という事は確認できた。
◆TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.15.17(グラフ75)
TMPGEnc Video Mastering Works 7 V7.0.15.17
ペガシス
http://tmpgenc.pegasys-inc.com/ja/product/tvmw7.html
次はこちら。要するに内蔵するメディアエンコーダ性能の比較である。最新バージョンはV7.0.16に上がったが、今回は一つ手前のV7.0.15.17で試用した。行っているのはVP9の4K映像をHEVC(H.265)の4Kへのトランスコードで、GeForce RTXはNVENCを、Radeon RX 5700XTはAMD Media SDKをそれぞれエンコーダとして指定している。エンコードは、4ストリームの映像を同時トランスコードといういつもの方法で行ったが、もともとAMDは同時4ストリームのエンコードが可能だが、NVENCは同時2ストリームまでとなっており、これはGeForce RTX 3080でも同じであった。
結果はグラフ75に示す通りで、初めて(そして唯一)Radeon RX 5700XTが他を圧倒する結果になった訳だが、それはともかくGeForce RTX 3080のエンコード速度は意外にもGeForce RTX 2080 Super/Tiよりもやや遅かった。とはいえ大きな差ではないし、そもそもメディアエンコードが目的でGeForce RTX 3080を購入するユーザーはそう多くないと思うので、これはこれで良いのかもしれない。