NVIDIAがAmpereアーキテクチャベースの新世代GeForce GPUとして発表したGeForce RTX 30シリーズ。そのうち最初に市場投入されるのが「GeForce RTX 3080」である。先にPreviewをお届けしたが、発売日を明日に控えて、このGeForce RTX 3080の性能レビューが解禁となったので、ご紹介したいと思う。
ボード構成、GA102 GPUのサイズは?
先のPreviewの時は分解不可(まぁOKが出ても、この複雑なカードの分解はちょっと怖いが)ということでお見せ出来なかったボードの写真だが、幸いNVIDIAから提供されているので、まずはこれから見て行きたい。ボードそのものは極めて短く切り詰められた構成になっており、後端はファンにあわせて斜めに切り取られている(Photo01)。余談だが、このボードの構成はNVIDIA A100の発表の際に併せて発表された、MellanoxのConnectX-6DXまでのせたEGA A100(Photo02)を彷彿するものがある。ところでPhoto01に戻ると、本来12個搭載できるGDDR6Xのパターンがあり、うち10個が実装されているという事から、GeForce RTX 3090も同じ基板を用いて提供されるものと想像される。それでいて一回り大きいというのはどういうことか? というのはGeForce RTX 3090を試す機会を待つことになるだろう。
ヒートシンクの構造はこんな格好(Photo03)。Previewでご紹介した写真にでている4本のヒートシンクの構造が良くわかる。
真上から基板を見たのがこちら(Photo04)。GA102チップとGDDR6X、それとVRMとコントローラの塊といった感じになっている。同様にヒートシンクも(Photo05)。ところでPhoto04から中心部を切り抜いたのがこちら(Photo06)。GDDR6Xの寸法が14mm×12mmと判っているので、ここから
GA102パッケージ:51mm×51mm
GA102ダイサイズ:23.6mm×27.2mmで641.9平方mm
と推定される。公開されているダイサイズはもう少し小さい様だが(628平方mmらしい)。
GPU-Zでは問題なく認識された(Photo07)。それはいいのだが、ちょっとBIOSを覗いてみると、Power Limitが最大で370Wという表示が(Photo08)。これを見る限り、かなりの発熱を覚悟しなければならないことが予想される。
ベンチマークテストの環境
では実際にベンチマーク結果をご紹介したい。今回は比較対象としてGeForce RTX 2080 Superと2080 Ti、それと一応AMDのRadeon RX 5700 XTも用意してみた。テスト環境は表1の通りである。
■表1 | |||
---|---|---|---|
CPU | Ryzen 9 3900X | ||
Motherboard | ASUS TUF Gaming X570-PLUS | ||
BIOS | Version 2607 | ||
Memory | CFD W4U3200CM-16G×2 (DDR4-3200 CL22) | ||
Video | GeForce RTX 2080 Super Founder Edition GeForce RTX 2080 Ti Founder Edition GeForce Driver 452.06 DCH WHQL |
GeForce RTX 3080 Founder Edition GeForce Driver 456.16 DCH |
Radeon RX 5700 XT Reference Radeon Software 20.8.2 |
Storage | Intel SSD 660p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot) WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data) |
||
OS | Windows 10 Pro 日本語版 Version 2004 Build 19041.450 |
なお、以降のグラフでは
2080 Super:GeForce RTX 2080 Super Founder Edition
2080 Ti :GeForce RTX 2080 Ti Founder Edition
3080 :GeForce RTX 3080 Founder Edition
5700XT :Radeon RX 5700XT Reference
となる。また一部のテストではRT(Ray Tracing)On/Offの両方が混在している。ここでRTを有効にしたものは
2080 Super(RT):GeForce RTX 2080 Super Founder Edition RTX On
2080 Ti(RT) :GeForce RTX 2080 Ti Founder Edition RTX On
3080(RT) :GeForce RTX 3080 Founder Edition RTX On
となっている。また解像度表記は
2K :1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K :3200×1800pixel
4K :3840×2160pixel
とさせていただく。
◆3DMark v2.12.6949(グラフ1~10)
3DMark v2.12.6949
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark
9月3日に、GeForce RTX 3000シリーズへの対応やアップデートがアナウンスされた3DMarkであるが、今回はまだ対応版は間に合っておらず、Version 2.12.6949のままである。
まずグラフ1がOverallである。Port Royalに関してはRadeon RX 5700XTは未対応なので、GeForce RTXの3製品のみである。もう結果は見ての通りで、GeForce RTX 2080 SuperとGeForce RTX 2080 Ti、GeForce RTX 3080がほぼ一定のスコア差で並ぶという結果になっている。さすがにNightRaidに関してはCPUの方がボトルネックになっている感じで殆どスコア差が無いが、あとはきっちりと性能差がでている。
これはGraphics Test(グラフ2)でも顕著であり、実際一番負荷が高そうなTimeSpy Extremeにおいても、GeForce RTX 2080 Superが30fps台、GeForce RTX 2080 Tiでも40fps前後なのが、GeForce RTX 3080ではきっちり50fps以上をマークしている。グラフ3は確認の意味であるが、Physics/CPU Testの結果はどれも殆ど差が無く、CPU負荷が特に増えているといった事もない。それもあってCombined Test(グラフ4)では、SkyDiver/FireStrikeあたりでは(CPUの方がネックになって)大差ないが、GPUがネックになりやすいFireStrike Extreme/Ultraでは再びGeForce RTX 3080が最高速になっており、実に判りやすい。
グラフ5はDLSS Testで、ここは将来のバージョンではテスト内容が変わると思われるが、今はとりあえずDLSS On/OffでPort Royalの画面描画性能がどう変わるかの確認である。性能向上比は3製品ともほぼ同じく、DLSS Onにすることで40%ほどの改善がみられるが、DLSS Offにおける地の性能がやはりGeForce RTX 3080が圧倒的に高いのがそのまま結果に繋がっている格好だ。
グラフ6はPCI Express Testである。こちらのテストの場合、Bandwidthがそのままフレームレートに直結するタイプのものであり、ここではRadeon RX 5700XTもPCIe Gen4対応ということで健闘しており、ほぼGeForce RTX 3080並み。一方GeForce RTX 2080 Super/TiはPCIe Gen3対応ということで帯域がほぼ半減という、まぁセオリー通りの結果になっている。
◆Basemark GPU 1.2(グラフ7~9)
Basemark GPU 1.2
Basemark
https://www.basemark.com/products/basemark-gpu/
もう少しSynthesis Benchmarkを、ということで次はBasemark GPUを。今回はちょっと負荷を上げるためCustom Testを利用し
- 解像度:4K・フルスクリーン
- Contents Quality:HIGH
- Texture Compression:bc7
としたうえで、DirectX12(グラフ7)/OpenGL(グラフ8)/Vulkan(グラフ9)で測定を行い、その結果をまとめたものだ。とりあえず平均フレームレートで比較した場合、GeForce RTX 2080 Superを1とすると
2080Ti | 3080 | 5700XT | |
---|---|---|---|
DX12 | 1.20 | 1.54 | 0.76 |
OpenGL | 1.20 | 1.29 | 0.46 |
Vulkan | 1.23 | 1.59 | 0.73 |
となる。OpenGLはあまり力を入れてない(ここに注力するのはQuadro系のプロフェッショナルビデオカード用ドライバだけである)ためもあってか性能の伸びがいまいちだが、DirectX12/Vulkanでは50%以上のフレームレート向上が確認できた。
◆SuperPosition v1.1(グラフ10~16)
SuperPosition v1.1
Unigine
https://benchmark.unigine.com/superposition
もう一つSynthesisを、ということでこちら。今回は
- Shaders Quality:High
- Texture Quality:High
- Depth of Field:On
- Motion Blue:On
という環境で解像度を変化させながら測定すると同時に、OCAT V1.6を使ってフレームレート変動も取得してみた。
まずグラフ10~12がそれぞれ平均/最大/最小フレームレートとなる。もう見ての通りで明確に性能差があり、GeForce RTX 3080の性能の高さが伺えるが、ちょっと面白かったのがフレームレート変動。2K(グラフ13)で75~110秒あたり、GeForce RTX 3080とGeForce RTX 2080 Tiのグラフがきっちり重なっているのは、多分ここがCPUのボトルネックになっているものと思われる。逆に言えば、ここで更に性能が上がれば(例えばZen 3とか?)、もう少し2Kにおける平均フレームレートが引きあがると思われる。2K~4Kまで通して、GeForce RTX 3080のフレームレートは、概ねGeForce RTX 2080 Superの5割増しといったところである。4Kの結果(グラフ16)で見ると、ちょっとだけQualityを下げれば十分4Kでの利用が可能な性能、と言えるだろう。