クラウドファンディング企画は「本を作っていく過程を見せることで、より本への愛着を」
――現在、BiSHのメンバー、モモコグミカンパニーさんのエッセイ本を作るためのクラウドファンディング・プロジェクトを実施しているわけですが、モモコさんの本だったら普通に出版できるでしょうし売れるはずですよね。それを何故クラウドファンディングにしたんでしょうか。
西澤:コロナ禍が本格化する直前に、僕が作っているZINE「StoryWriter」を9年ぶりに発売したんです。タワーレコードさんとかHMVさんとかリアル店舗に卸したんですけど、コロナの影響でお店が営業できない状態で、この先どうやって本を作って届けていけばいいのかなって身を以て実感することになって。そんなとき、渡辺さんから「モモコグミカンパニーのエッセイ本をCAMPFIREで一緒にやらないか」という電話をもらったんです。毎週書いたエッセイをメルマガで届けながら、本の製作過程を感じてもらいつつ、本にして届けようという話をして。ZOOMでモモコさん本人も交えてミーティングをしたときに、お客さんからのコメントも読みながら作りたいというアイデアが出て、お客さんからコメントを受け付けてコミュニケーションを図りながら作っていくというプロジェクトになりました。実際、エッセイを公開すると、何百人という人がコメントを送ってくれるんですよ。しかも、すごく思いを込めて長い文章で送ってくれる。モモコグミカンパニーも全部読んでいて、当初予定になかった動画でコメントを撮ってメルマガで送ったりもしていて、本当にやりながら色々アップデートされている感じです。この先、表紙とかデザインとかゲラができましたとか、そういう部分もできるだけ報告して行きたいと思っています。参加してくれた人には、どうやって本ができるのかを追体験してもらえるので、本が届いたときにより愛着を持てるんじゃないかなって。
渡辺:本を作っていく過程を見せたいというのは、西澤さんはずっと前から言っていて。会社を立ち上げた当初、本を作っていく過程をnoteに書いていたんですよ。今回はある種あの感じを見せられるというか。あれちょっと残しておいてよ。マイナビニュースの読者の方にも見てもえらえるように(笑)。
西澤:途中で挫折しているんです(苦笑)。あのときのnoteはクリトリック・リスの本ができるまでのことを書こうとしていたんですけど、途中からイベントの方に意識が変わっちゃって(※クリトリック・リスの野音ワンマンライヴを主催)。それで止まっちゃったんですけど。でも、ありがたいなと思うのは、僕の周りにはこうやってツッコんでくれる人がいっぱいいるんですよ。渡辺さんとナタリー会長の大山(卓也)さんから「あのnoteはどうなってんの?」って言われますから。
渡辺:だって、西澤さんと大山さんが喋って、僕がインタビュアーになった記事があるんですけど、ある意味2人が証人として聞いている中で、「製作過程をnoteに書きます」って決意表明のように宣言したんだから。その上で挫折するっていう(笑)。
西澤:本当に情けないなと思っていて……。その経験もあるので、このプロジェクトは本当に必死にやっています。これだけ期待してもらっているので。絶対良いものを作ります。
渡辺:ある意味、リベンジだよね(笑)。でも面白いんですよ。その当時も「どうなってんだ」ってチクチク言ってたんですけど、結局書けないものは書けないので。そういうところも含めて、西澤さんの人間的魅力というか。なので、書いてるモモコグミカンパニーもそうですけど、一緒に必死になってやる雰囲気が生まれていて。あれは残しておくといいね、黒歴史として(笑)。
西澤:わかりました(笑)。こう言ってくれることに甘んじていてはダメだということはよくわかっていているんですけど、毎年WACK合宿オーディションに参加して現地から公開しているレポートも、読んでくれている人が、「ここ誤字がありますよ」って校正をしてくれて……(笑)。本当は自分で全部完璧にできないといけないんですけど、そうやって指摘してくださって記事をブラッシュアップしていくことに対して、一緒に作ってる感を感じたりすることもあるんです。
――クラウドファンディング終了は8月21日(金) 23:59:59ということで、まだまだ時間はありますね。現時点での目標ってありますか。
西澤:今、支援していただいているのが3176人(7/8時点)なんですけど、モモコグミカンパニーの1冊目の書籍『目をあわせるということ』は14刷まで重版していて。それだけ読んでいる人がいることを考えると、まだまだ届いていない人たちがいると思うので、そういう人たちにもしっかりと届けたいです。今回のプロジェクトは本を作る過程を楽しめるし、そういう仲間が多ければ多いほど、一緒に作る喜びも大きくなると思うので。