Appleはスマートホームへの取り組みについて、まだまだ本気で取り組んでいるようには見えない。もちろん最低限の機能の実現は達成しているが、それがライフスタイルを一変させる原動力を持つものだとは評価できない。
これは前述した通り、AmazonやGoogleも同じで、いわば足踏みの状態にある。進展がないのを受けてだろうか、Googleについて指摘しておくと、スマートホームの文脈より、情報端末としてのキャラクターを際立たせようとする方向に軸足を移そうとしているイメージすらある。
若者を中心に、都市の中でアパートで暮らすという生活様式にあっては、、導入できるのはせいぜい照明とセキュリティカメラぐらいだ。中は、勝手に作り付けの空調のサーモスタットを取り換える人もいるかもしれないが……。
これまでスマートフォンを足掛かりとして大ヒットを生むのに欠かせないと言われてきたキーワードは、「個人」「都市」「若者」「アプリ」の4つだ。例えばシェアエコノミーの代名詞的存在となっているUber、Lyftなどのライドシェアサービスは、「個人」が使用し、「都市」における交通の問題に関して、車を所有しない「若者」層に便利な、「アプリ」と、いずれのキーワードも含み成功を収めてきた。
スマートホームは、個人と言うよりは家族であり、米国においては都市と言うよりは郊外であり、不動産価格の高騰で若者は家を持たず、また実現にはスマートフォン以外のデバイスが必要となる。あらゆる要素で、スマートフォン的な成功は望めないのだ。