Appleが提供する「HomeKit」は、iOSからスマートホーム機器を操作するためのプロトコルである。2018年9月に配信されるMac向けOS「macOS Mojave」では、iPadから「ホーム」アプリが移植され、Macからスマートホーム機器の操作を、Siriを通じて声で行えるようになる。
対応するスマートホーム機器のカテゴリは、最も身近な照明機器のスイッチ、サーモスタットなどの空調機器、電動カーテン、家のカギやガレージのシャッター、セキュリティシステム、セキュリティカメラなどが用意されており、iOS 11からはスピーカーもコントロールの対象に加わった 。
AppleのCEOであるTim Cook氏は、時折、自宅に配備されたスマートホーム機器についてコメントとすることがある。2018年第3四半期決算でも、自宅におけるスマートホーム体験について紹介した。
ちなみにCook氏の自宅はパロアルトにあり、2012年の段階では190万ドルの価値があったが、現在は不動産価格が値上がりし、およそ330万ドルの価値となっている。223平方メートルの自宅にはHomeKit対応デバイスがあちこちに置かれており、Siriに「おはよう」と告げると電気がつき、コーヒーの抽出が始まるという。また、夕暮れのリラックスしたい時間には、Siriから照明を落とす指示をし、暖炉の火を灯すとのことだ。暖炉は薪に火を点ける作業が面倒で、一酸化炭素中毒にも注意しなければならないが、最近の米国の家屋では、ガス式の暖炉もあり、スマートホーム機器としてコントロールできるようになった。
また、出かける際、家に戻る際にも、自分のiPhoneの位置情報を用いて、家の照明や空調を自動制御しているそうだ。こうしたスマートホーム機器は、米国で郊外などに家を持っている人にとっては導入しやすいかもしれない。ちなみにシリコンバレーは、郊外と言うよりは牧歌的な田園地域と表現すべきなのだが。
Siriによるスマートホーム体験は魅力的なものに見えるが、それ以上に拡がりを見せているのがAmazonの「Alexa」、Googleの「Googleアシスタント」の対応機器だ。しかしながら、Appleのライバルとなるテクノロジー企業大手がスマートホームを主導しているという状況が、分かりやすい形で展開しているという印象はない。
ライバル企業が、思ったような成果を上げられない中、Appleは虎視眈々と機が熟すタイミングを計っているようにも見える。