サービス部門の、売上高の目標を上回る成長の推移に対してアナリストに質問されたCook氏は、「結果に満足している」との考えを示した。
同時に、今後のサービス部門の成長のキーワードは、エンターテインメント産業にあると考えていることも伺える。
AppleはWWDC 2018で、Apple TV 4KをtvOS 12でDolby Atomosに対応させ、「秋には最大のDolby Atomos作品数を取り揃える」ことを明らかにした。 また、インターネットを通じた多チャンネル放送サービスの提供を実現するCharter Communicationsが、5,000万の加入者に対して、Apple TV 4Kをレシーバーとしたサービス提供のプロモーションを開始しており、Apple TVのApp Storeを通じたサブスクリプション契約の拡がりは、Appleのサービス部門の売上増につながる有力な材料となると見られている。
また、2019年にはDisneyが独自のストリーミングサービスの提供をアナウンスしているが、これが、Appleのプラットホームに乗る可能性は高い。これまでのAppleとDisneyの関係を考えれば、App Storeから簡単にアプリをダウンロードし、すぐにサービスに加入できる仕組みを整えて行くことになるだろう。
加えて、Apple Musicなどで提供しているオリジナルコンテンツへの投資についても、サービス部門の売上を目指す上で重要になる。Cook氏は現在まだ話す段階にないと言うが、例年9月のiPhone発表のタイミングで、オリジナルコンテンツ展開についてなんらかのアナウンスがなされることも期待したい。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura