「LIFEBOOK LH」シリーズは発表直後にネット上で大きな話題を呼びました。その意見の多くは、搭載しているスペックに対して価格が高いというもの。このネット上の意見は富士通グループ内部でも大きな問題になったようです。

小さな子どものいる著者としては、前回のレビューでも書いた通り、スペック面での不満を感じた部分はあるものの、子ども向けパソコンの重要なポイントは一般的なパソコンのようなCPU性能やストレージ容量だけではないとも思いました。ハードウェアの企画を担当した、富士通クライアントコンピューティングの安藤賢一さんもそう語ります。

  • 富士通クライアントコンピューティング 事業本部 プロダクト企画統括部 第一プロダクト部 安藤賢一さん

「もともと、小学生向けの商品ということで、いわゆるハードのスペックだけで語る商品だとは考えておらず、サービスなどをひっくるめた総合力で評価していただきたいと考えていました。なので、ちょっと発表の仕方を失敗したなというのはありました。

ハード面では、学校に収めている教育用タブレットの経験から、子ども達はパソコンを丁寧に扱うという感覚がないことを前提にしています。例えば教育現場では、タブレットは机の上に置くように指導しているのですが、子どもは平気で床の上に置いてしまいます。小さい子には、パソコンが精密な機械で、踏まれないように気をつけないといけない、という考え方がない。ストレージを衝撃に強いSSDにしたり、本体の周りをラバーでぐるっと囲んだりしたのはそのためです」(安藤さん)

360度回るコンバーチブルタイプにした理由

安藤さんが設計でこだわった部分というのがスピーカーを内蔵したヒンジ部分。 「LIFEBOOK LH」シリーズは2種類あり、タッチ対応の上位モデルは、液晶が360度後方に回転するコンバーチブルタイプです。

このため、スピーカーをキーボード上部などに配置すると、タブレット型にしたとき、底面になってしまいます。しかし、ヒンジ部分にあればタブレット時でもスピーカーが隠れることはありません。また、ヒンジを上向きにしたテント型でも使いやすいといいます。

  • 可動するヒンジにスピーカーまで仕込むのはなかなか難しかったとか。そのおかげで多彩な使い方ができるようになった

「プログラミング学習では手前に書類を置いて操作することがあります。そのときにノート型スタイルだと画面が遠くなりますが、テント型なら画面を近くに置けます」(安藤さん)

プログラミング学習ソフトはマウス操作が中心となるため、キーボードはあまり使いません。テント型なら、資料と画面をバランスよく置けるといいます。また、子どもたちが好きな、YouTubeなどの動画鑑賞にもテント型は向いています。これまでもテント型で使える2in1ノートは数多くありましたが、「LIFEBOOK LH」シリーズは本体の縁がラバー製なので、滑りにくいのもポイントです。これなら子どもが倒してしまう心配もありません。

  • テントスタイルで使っているところ。ペンタッチでも操作できる