しかしその刷新でMacBook Airがラインアップから姿を消すことになると、999ドルで販売されるMacBookシリーズはなくなってしまう。米国に限らず、日本でも、より安くMacを導入したいと考える教育機関からすれば、躊躇する事態だ。そして、価格の上昇はMac離れに直結するだろう。

現在MacBook Airは92,800円から。このモデルがなくなると、MacBookもしくは2017年モデルの13インチMacBook Pro(Touch Barなし)の136,800円に最低価格は跳ね上がる(いずれも税別価格)。50台の導入でも消費税を入れておよそ240万円の差額が生まれてしまうことになる。

一方、Appleは現在、iPad、iMacについて、通常モデルとProモデルの展開に整理をし終えている。iPadにはかつてiPad Airシリーズが存在していたが、初代iPad Airの筐体を流用した低価格のiPadとリブランディングされ、iPad Proとの2ラインアップに収斂した。

MacBookシリーズに同じ事が起きるなら、MacBookとMacBook Proの2ラインになり、下位モデルのMacBookは1モデルに統合されることになるのだろう。となると、今回アップデートから漏れた3つのMacBookシリーズは、ゆくゆくは1つのMacBookへと集約されていくことになると推測される。

その際に重要なのは価格だ。通常モデルが1,299ドルであっても、教育機関向けには999ドルなど1,000ドルを切る価格で提供できるようにすべきだと思う。あるいは、1,000ドル未満のモデルに対するニーズはiPadで、というAppleのラインアップの整理が徹底されることになるのだろうか。

松村太郎(まつむらたろう)


1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura