今回アップデートされたのはTouch Bar搭載モデルに限られる。これまで通り、P3の高色域に対応するRetinaディスプレイを搭載するが、今回新たにTrueToneディスプレイをサポートした。
この機能は、環境光に合わせてホワイトバランスを調整することで、紙を見ているような体験を実現するというものだ。特に白熱球の下で見ている場合、紙の白は温かみのある色として目に届く。これを再現するのがTrueToneディスプレイで、iPhone、iPad Proには既に採用されている。今回MacBook Proにも搭載されたということは、照度センサーとともに色温度を測るセンサーも内蔵された、ということだ。
筆者のように文筆を生業にしているなら、環境に合わせたホワイトバランスの変化は心地よく感じるかもしれない。しかし写真やビデオなどのコンテンツ制作に携わるクリエイターにとっては、邪魔な機能になってしまう。もちろん設定でON/OFFが可能な点は、iPhoneやiPadと同じだろうが。
AppleはiPhoneに採用したテクノロジーをその他のデバイスに適用する、という進化の方程式を作ってきた。売上高の7割を占めるiPhone向けに技術開発を行い、そこで成功を収めれば製品ラインアップ全体に波及させる。これは非常に真っ当な戦略と言える。
その流れは2010年のRetinaディスプレイを搭載したiPhone 4から始まった。以降、Siri、Lightningポート、Touch ID、Apple Pay、3D TouchとTapTic Engine、TrueToneフラッシュ、TrueToneディスプレイ、「Hey Siri」機能、有機ELディスプレイへと続く。
一部、iPadやApple Watchが先行したものもあるが、Appleが展開するブランド化された技術は、概ねiPhoneから始まっている。そして現在、iPhoneのみに採用されているのがTrueDepthカメラだ。こちらも、iPadやMacへの搭載が期待されるところである。