Digital Music Newsは、米国市場において「Apple Music」が、競合となる音楽ストリーミングサービス「Spotify」に、有料ユーザー数で上回ったと報じた。
そこでは、米国市場における有料ユーザー数はApple Music・Spotifyともに2,000万人ほどで拮抗していたが、Apple Musicの月間成長率が5%なのに対し、Spotifyは2%に留まり、直近の数字からApple Musicが追い抜いたという見方がなされている。
Spotifyには無料ユーザーもおり、総リスナー数は世界で1億6,000万と、世界全体での有料ユーザーは4,500万人となっているApple Musicに対し、数の上ではまだまだ巨大な勢力と言えよう。
有料ユーザー数でApple Musicに上回られても、Spotifyには第二のビジネスモデルがある。 無料ユーザーの聴取からも、広告モデルで収益を上げるという珍しいパターンを展開しているのだ。引き続き、Apple MusicとSpotifyの2社とも、音楽市場において重要な役割を担っていくはずだ。
前述のDigital Music Newsの報告では、Apple Musicのエンゲージメントの高さが指摘されている。Drakeがリリースした新アルバムの配信について、1週間あたりの総ストリーム数は、ユーザーベースが小さなApple Musicのほうが多かった。これはつまり、無料ユーザーが多く抱えるSpotifyのほうがアクティブユーザー率が低いということを意味している。
エンゲージメントの高さは、アーティスト/レコード会社、Appleにとってそれぞれのメリットへと直結している。アーティスト/レコード会社にしてみれば、最新楽曲をApple Musicで先行配信することで一気に注目を集める「場」にでき、Appleにしてみれば、楽曲発表の手段として有力視してもらえるようになるからだ。
そんな中、Appleはミュージックビデオのセクションを充実させ、新作、あるいは旧作のビデオをApple Musicの中で楽しめるよう整備している。これまでミュージックビデオの視聴は、YouTubeで無料でというスタイルが一般的な状況にあったが、それを変革せしめようとしているのだ。
Recording Industry Association of America(RIAA)によると、2016年の統計で、1,000ストリームあたりアーティストが得られる収益は、Apple Musicの12ドルがトップだった。次いでSpotifyが7ドル、YouTubeはわずか1ドルだったという。Apple Musicは前述のようなエンゲージメントン高さに加え、アーティストにとって、ストリーミング配信が収益化しやすいプラットホームであることを表している。