――浅倉は常に満たされない思いを抱いているためか、食事シーンのインパクトが強いですよね。第23話ではカップ焼きそば、第34話では生卵3つ、第42話ではトカゲの丸焼きなんていうのも食べていましたが、このような食事シーンについての思い出はありますか?
萩野:食事シーンを入れることで、あの浅倉も人間なんだなと思わせる一面を見せたかったのではないでしょうか。
小田井:トカゲを焼いて食ってたのは面白かったね。
萩野:あれは本物じゃなくて、ゴム製のトカゲの中にひき肉をつめたもので、それを実際に焼いて食べる芝居をしていたんです。「肉のところを食べてください」って言われたのですが、周りのゴム部分が火でコゲてしまって、すごくゴムくさい。あれって、東映さんのイジメですね(笑)。
――第41話で浅倉が、シーフードパスタに入っていたムール貝を殻ごとバリバリッと食べ始めたのにも驚きました。
萩野:あのムール貝ね。「殻ごと食え」と指示されたから、一応噛むようにはしましたよ。でも噛みきれないんですよ。その後、殻をあらかじめ割っておいて、それを食べるように言われて……これもイジメですね(笑)。
小田井:そのシーン、北岡が食べようとしているパスタを浅倉が横取りするってところだから、俺も吾郎ちゃんも現場にいたんですけれど、リハーサルのときから笑いが止まらなかった(笑)。何をやっているんだろう、これは!って。
萩野:後で「バリ、ボリ、バリ」なんて効果音入れられちゃって(笑)。もう人間じゃねえな、と思いながら芝居してたなあ。
――北岡と浅倉とが対峙するシーンで、印象に残った出来事はありますか。
小田井:第40話で、北岡が浅倉の面会に行ったとき、あなたが金網をバーン!と蹴ったでしょ。あれ、リハーサルではやってなくて本番でいきなりやったから、マジでびっくりしたんだよな。
萩野:そんなことやったっけ(笑)。
小田井:顔の近くで蹴られたもんだから、リアクションがもう凄いことになっていた。めっちゃ怖かったんだけど、NGになるのはシャレになんねえと思って、必死で耐えたんだよね。
萩野:すみませんでした! 若気の至りとして許していただければ。
小田井:気になる方は、第40話のそのシーンを見返してみてください。
萩野:いやあ、あのときは夢中で芝居していましたからね。
小田井:萩野くんの場合は役が役だったから、撮影の前後では自分の世界だけを作るんですよ。自分も萩野くんがそういう気分を作り上げているのがわかるし、そういった距離感を保ちながら芝居をしたほうがいいと思いました。結果、いい立ち位置の関係が築けたと思っています。