最後に個人的に興味深かった、天気アプリの強化について触れておこう。
現在はiPhoneで設定した都市、もしくは現在位置における時系列での天気と気温の表示、10日間の天候の表示ができる程度だった。それでもSiri Watch Faceでは、雨が降り出す時間にそのことを告げるカードを差し込んでくれるなど、いちいちアプリを開かなくても便利に機能してきた。
今回のwatchOS 5では、都市の追加に対応し、また空気の汚染度合い、風向風速の表示、紫外線、といった生活に関係ある気象情報が多数追加された。WWDCの基調講演では披露されなかったが、おそらく天気アプリの画面表示も刷新され、コンプリケーションズに表示できる情報の種類も増えるだろう。
特に大気の汚染度合いについては、昨年サンフランシスコの北部のワイン地帯、ナパ・ソノマで大規模な山火事があり、その煙でシリコンバレー一帯の大気が著しく悪化するという経験をした。またロサンゼルス周辺でも秋が深まる中で山火事が相次ぎ、大気汚染の情報を配信する気象台のウェブサイトがダウンするほどだった。
こうした米国、カリフォルニアの人々のニーズに敏感に反応するあたりも、より生活に根ざした存在になろうとしている現れだろう。
松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura