もう一つの方向性は、人工知能アシスタントの活用ツールだ。
iOS 12では、Siri Shortcutsという機能が追加される。既存のアプリの機能やその組み合わせに対してSiriで命じるフレーズを記録し、すぐに声で機能を呼び出せるようにする仕組みである。
Shortcuts自体は、普段iPhoneを使っている中で、Siriが利用パターンを見出し、ショートカットの候補を挙げてくれる。ユーザーはこれに自分の言葉でフレーズを吹き込めば、Siriを使っていつでもその機能を声で呼び出せるようになる。このショートカットは、iPhoneで作成しても、Apple Watchから利用できる。
例えば、職場の最寄り駅に着いたときに、オフィスまでにあるコーヒーショップでカフェラテをオーダーする習慣がある人は、Siriがそのパターンを見出し、ショートカットのおすすめを提示する。タップしてカフェラテをアプリからオーダーもできるが、これに声のフレーズを録音することで、いつでもその店でカフェラテをSiriからオーダー出来るようになる。
Apple WatchがSiriのリモコンになるのは、Apple Watchのみに用意されているSiri Watch Faceがあるからだ。
現在Siri Watch Faceには、Apple純正のアプリの情報、例えばカレンダーや暦、天気、株価、呼吸といった情報が時間や場所に応じて並べられる。Appleはここに新たにスポーツの試合結果、地図、心拍数などのカードを追加するが、それらに加えてサードパーティーアプリの情報やショートカットを表示できるようになる。
このサードパーティーアプリの情報やショートカットも、Siriが時間や場所、ユーザーの状況などに合わせて優先順位を付けて並び替える仕組みで、声を使わなくてもタップだけで、いつも行う作業を時計から済ませられるようになる。
例えば自宅に帰るときに、「マップアプリでの経路検索とラジオアプリでの再生」のショートカットを作成して毎日退社時間に使っていたとする。するとApple WatchのSiri Watch Faceには、退社時間に会社近辺にいれば、この帰宅の時に使うショートカットが候補に現れていて、タップするだけでiPhoneのナビゲーションとラジオ再生を呼び出せるようになるというわけだ。