統一ルールで競う世界のディーラー、トップの知見はシェア
セールス、マーケティング、アフターセールスの各部門における成績が、すべて数値で明らかにされ、その結果、世界一のディーラーが決まる仕組みであることによって、世界一になったディーラーが、それをどのように実現したかが具体的に明らかとなる。この知見は、他のディーラーが今後の業務改善に役立てることができる。それにより、フェラーリ正規ディーラー全体として、質の向上や発展につながっていくのである。結果、フェラーリが目指す「オール・フォー・エクセレンス」が強化されることになる。
フェラーリ独創のグローバル・トップ・ディーラー・オブ・ザ・イヤーの取り組みには、冒頭で紹介したように、モータースポーツが母体のスポーツカーメーカーであるという特色が背景にある。自動車レースも、ルールに基づき均等な条件の下で勝敗を競う。そのためのルール作りには多大な英知がつぎ込まれる。そのルールは、一方的な勝負が生じた際には改訂され、再び均等な条件をもたらされる。そうした仕組みをスポーツカー販売の現場にそのまま反映したのが、この賞なのである。
従業員もフェラーリと共にある人生を楽しむ
表彰式は、場所や装飾、あるいは会食の仕方などが毎年、異なる演出によって催されるという。均等な条件で純粋に競い合い、その勝者へは惜しみない賞賛を送るという、あたかもオリンピック競技を見るかのような表彰式が展開されている。
単に金儲けのためではなく、仕事も人生を楽しむ時間の1つであるという価値観がそこにあるのではないだろうか。人生50年とかつては言われ、いまでは100歳まで生きると言われるが、それでも人の一生は時が限られている。フェラーリと共にある人生は、顧客のみならず、ディーラーも従業員も楽しくあるべきというイタリア人の生き様が、正規ディーラーを顕彰する仕組みに遺憾なく盛り込まれているのかもしれない。
ちなみに日本からは、1976年にフェラーリのインポーターを開始した歴史あるコーンズ・アンド・カンパニー・リミテッドの大阪ショールームが、2014年にグローバル・トップ・ディーラー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。