AppleはもともとMacによって支えられてきた企業だ。Steve Jobs復帰で、Apple復活ののろしとなったのも、ポリカーボネイトの印象的なデザインを採用した「iMac」はその象徴的な存在であったと評価できる。
しかしその後はiPod、iPhone、iPadと、Appleの成長のなかでMac以外のデバイスがリードする格好となる。特にiPhoneは登場して10年経った現在、同社の売上の6割以上を占めるビジネスの柱であり続けている。
Macの販売台数は2003年に301万台と直近の最小値を記録しているが、iPodとのハロー効果で販売を持ち直し、2008年のMacBook Air投入、そして2010年のMacBook Air刷新を契機に、その販売台数を年間1,000万台以上のペースへと押し上げた。
つまり、MacBook Airは、Macの販売台数を4年で2.5倍へと増加させる原動力となった製品であった。またMacのIntel採用で最も大きな恩恵を受けた製品でもあった。(参考:Statista)
2010年のモデルチェンジ以降、MacBook AirはMacの販売台数を増やす上でもう1つの役割を果たすことになる。それは、Macプラットホームへの入門機、という位置づけだ。
MacはWindowsマシンと比較して割高だというイメージがつきまとっているが、2010年に投入された11インチモデルMacBook Airは999ドルという価格が付けられ、2014年には899ドルにまで値下げされた。採用しているプロセッサの性能やデザイン性を加味すれば、決して割高ではなくなったのだ。
加えて、自分のデバイスを職場に持ち込むBYODのトレンドは、自分の好みのマシンを自由に選ぶ、という視点をビジネス市場に持ち込んだ。加えて、ビジネスアプリのクラウド化は、Windows/Macというプラットホームの垣根を下げていった。
そうした傾向もあって、MacBook Airで新たにMacに触れる人を増やすこととなった。その結果、Intel化以前の2005年からの10年間でMacの販売台数は、年間435万台から2,059万台と、4.7倍にまで成長した。