ほかのFoundryと異なり、10nm世代を完全にスキップしたGlobalfoundriesであるが、やっぱり間が開きすぎたようで、2017年9月に新しく12LPというプロセスを追加してきた。このあたりを含めて説明したい。
Globalfoundriesは言うまでもなくAMDのCPUとGPUの生産を担っており、特に先端プロセスに関してはほぼAMD専用に近い(厳密に言えば他に生産されているチップもあるが、生産量はAMDが圧倒的に多い)状況にある。先端プロセスとして現状は14LPPを提供しているが、こちらは歩留まりも非常に良く、広く利用されている(Photo28)。
そのGlobalfoundries、10nmはスキップして7nmに移行するという計画を立てているのは以前に説明した通り(Photo29)だが、この7nmのArF+液浸は、Risk Productionが2018年前半と説明されており、量産に入るのは2019年になってからということになる。
となると、2018年中に出荷する製品は引き続き14LPPのままになってしまい、これはちょっと間が開きすぎる。これもあって、14LPPは(Globalfoundries独自で)2回のVersion Upを行うとしていた。
2017年9月に最初のVersion Upとして12LPが発表された。この12LPのPrimary CustomerはもちろんAMDで、リリースにはAMDのCTOであるMark Papermaster氏が"We plan to introduce new client and graphics products based on GF's 12nm process technology in 2018 as a part of our focus on accelerating our product and technology momentum."(我々は2018年にこの12nmプロセスを利用したCPUとGPUを投入する)と述べている。
2017年10月に行われたGTC(Globalfoundries Technology Conference)における発表(Photo30)を見る限り、Risk Production開始は2018年前半とアナウンスされているが、これは恐らくAMD以外の顧客への話と思われる。
12LPは14LPPをベースに構築されている。これはTSMCの12FFC/12FFNと同様に、セルライブラリを縮小することで実現すると予想している。もっとも同時に自動車向けやRFのオプションも発表しているあたり、トランジスタ構造が一切変わらないわけではなく、若干の改良も行われている可能性がある。
続く7nm世代であるが、同社によれば最初のノードである7LPは、14LPPと比較してLogicとSRAMの密度が倍増、40%以上の性能改善もしくは60%の消費電力削減が可能としている(Photo31)。ちなみにこれは先も述べたとおりArF+液浸での提供であり、EUV(7LPPとかになるのか、7LP+なのかも不明)でのRisk Production開始時期やその性能なども明らかにされていない。
Globalfoundriesではもう1つ、FD-SOIのラインナップも提供されている(Photo32)。同社は省電力プロセスとRF/Analogでは、FinFETベースよりもFD-SOIが優れているという姿勢を崩しておらず、しかも実際にFD-SOIのカスタマーも次第に増えつつある。
ただし、いまのところFD-SOIの出荷のメインはロジックよりもRFで、特に5Gに向けたRF関連製品が主流の模様だ。面白いのは、22FDXにしても、その次の12FDXにしても、Body Biasは利用するのが大前提になっているのだが、ほとんどの顧客はReverse Body Biasを使ってリーク削減の方に特性を振っており、Forward Body Biasで性能を改善するニーズはほとんどないのだとか(Photo33)。
まぁ性能を改善するならFinFETを使うということなのだろう。22FDXはすで量産開始しており、12FDXは2019年のMass Production(つまり2018年中にRisk Production開始)を予定している(Photo34)。そんな訳で2018年は、Intel以外のWWAN/WLANチップなどに、同社のFD-SOIを使った製品が採用されているかもしれない。