アラを探すようなことになってしまうが、MX ERGOで唯一、画竜点睛を欠くと思っているのが「プレシジョンホイール」を採用している点だ。
前のM570は通常の樹脂製のスクロールホイールを採用していたが、MX ERGOにはそれよりも精密な動きとラチェット感があるプレシジョンホイールを採用している。しかし、歴代MXシリーズの象徴的存在は、「超高速スクロール対応ホイール」である。元々はMicroGearプレシジョンスクロールホイールと呼ばれていた機能だ。
MicroGearスクロールホイールを備えた普及版マウスのV550(V-550SV)。これも大のお気に入りで、持ち出し用マウスとして愛用していた。妙に地味に見えるのは、使っているうちに塗装が剥げ出したので、いっそのこと、と自分で塗装を全部剥がしたため |
MicroGearプレシジョンスクロールホイールは、クリック感のある「クリック・トゥ・クリック」モードと、大量にスクロールさせる場合に抵抗なくグルグル回って強烈にスクロールする「フリースピン」モードが切替できる。
フリースピンモードは、過去の資料によれば最大7秒間回転し、大量のテキストファイルや表計算でもある程度中身を確認しながら高速スクロールできる、というものだ。例えば、楽天市場でどんなに説明文が長いページでも、注文ボタンまで一気にスクロールできたりする、高機能のスクロールホイールである。
この、フリースピンモードの超高速スクロールが、MX ERGOでは排されている。その理由はおそらく、水平スクロール機能とのトレードオフのためだと思うが、フラッグシップの「MX」シリーズというからには、マウス製品「MX MASTER」シリーズでも採用されている超高速スクロール機能が欲しかった。これがあれば、大量の写真や動画、テキストファイルを整理する時により便利になったのに……。