なぜこれほどまでにトラックボールを愛用するのか? それは筆者の作業環境に起因する。ライター稼業はなにかと資料が必要だ……というのは言い訳なのだが、ちょっと油断するとすぐに「汚デスク」となり、マウスを動かすスペースがなくなる。トラックボールは構造上、マウスと違って本体を動かす必要がないため、本体を置くスペースだけあれば問題なく使用できる。
また、執筆作業は基本的にキーボードと格闘するため、マウスカーソルが勝手に動くと困る。最近のノートPCは、パームリジェクトという「掌がタッチパッドに付いてもカーソルが動かない」仕組みが入っているものもあるが、タッチパッドの面積が大きいため、普通に使っているだけでも、何かの拍子で動いたりタップされることがある。トラックボールは、ボールに触れさえしなければ、ポインタが動いたり、勝手にタップされたりすることはない。
このほか、筆者は出先ではマウスを使っているが、出かけた先にあるのが木製やガラス製のテーブルなどで、机表面のテクスチャをマウスが読み取れないこともある。無理に使ってもポインタが動かなかったり、あさっての方向に飛んだりして厄介なのだ。
トラックボールは使える場所の自由度が高い
トラックボールの魅力は、本体を動かさなくても使える省スペース性と、どんな所でも使えるという自由度の高さにある。そして、それなりにメンテナンス(ゴミ掃除)をすれば長く使えるという耐久性の高さもメリットに挙げられる。
しかも「トラックボールは体に優しい」。マウス操作をした事がある人ならわかると思うが、基本的にマウスを机に押し付けると動きが悪くなるので、気持ち浮かせるような形で腕を前後左右に動かす必要がある。力を入れた状態で使い続け手首を痛めた経験のある人もいるだろう。
親指トラックボールの場合、動かすのは親指だけでよい。手のひらや手首は基本的に動かす必要がないため筋肉の疲労が少なく、長時間PCに向かう時にありがたい。筆者にとっては「ノートラックボール、ノーライフ」である。