Appleは初期の市場を構築こそするが、後に競合他社の参入が増え、規模の面では他社に追い抜かれていく。もちろん今日のAppleは、ある意味では規模が重要だが、デバイスを高付加価値に保つことで、ハードウェア、アプリプラットホームの双方で、最大の利益を確保する企業の地位を築いている。
Macにしても、iPhoneにしても、他社製品のユーザーがAppleのプラットホームにスイッチして欲しく、出て行って欲しくはない。ユーザーを奪い合う競争下では当然といえば当然の話だが。
Macは、2016年までの数年間、特にハイエンドユーザーをWindowsプラットホームに奪われる立場だった。Adobeは売り切り制のアプリからサブスクリプションモデル「Adobe Creative Cloud」へ方針が変更され、Macで利用していたユーザーがWindowsに乗り換えても、購読契約であるため、ソフトウェアの切り替えやデータの面で、問題が生じることがなかった。そのため、タッチ操作が利用でき、最新の性能を備えるマシンを、場合によっては自作できるWindows環境へMacユーザーが乗り換えるという現象が起きた。当然Microsoft Officeは利用できるし、クラウド系のアプリもWindowsとMacをサポートしているため、何の問題もなく移行が可能であった。
対抗策として、AppleはMacについての強化を約束し、MacBook Pro、iMacをアップデートし、Mac Pro、iMac Proといったさらにハイエンドのマシンを用意した。そうした戦略が功を奏して、Macも市場の動向を含め、活況を呈するという展開になりつつある。使っているアプリの乗り換えが円滑になったとなれば、やはりハードウェアの性能やデザインなどできちんと競争しなければならないのだ。