Appleの決算発表でこのところ目立つのは、サービス部門の成長だ。2017年第3四半期決算では、72億6,600億ドルの売上高を記録し、前年同期比20%増、前期比でも3%増という数字となった。Appleはサービス部門の稼ぎ頭としてApp Storeを成長させており、iPhoneやApple Watch、iPadなどを購入したユーザーから、更なる売上を得ること、そして購入してもらったアプリを武器にして、次もAppleのデバイスを選び続けてくれるよう囲い込む構造を築き上げている。

ところが、そのApp Storeで、ある変化が起きている。それは一体どんなものなのか、Appleの、これまでの他社製品との競争で勝利を収めるために採った方策を振り返りながら解説していこう。

Appleは8月11日から9月12日まで、日本でケータイや他社製スマートフォンの下取り額を5,000円増額する『ケータイスイッチ』キャンペーンを展開している。iPhone 7モデル末期で、お得に「最新の」iPhoneに乗り換えるチャンス、というわけだ。

『ケータイスイッチ』キャンペーン

また、終了日時から察するに、新型iPhone発表の前日までのキャンペーンと考えて良いのではないか、と勘ぐってしまう。つまり、iPhone発表のスペシャルイベントは、日本時間の9月13日以降。最速で日本時間9月13日午前2時(カリフォルニアでは9月12日午前10時)になるだろう。

Appleはかつて、Macユーザーを増やそうとして、「スイッチキャンペーン」を展開した。コマーシャルにMacさんとPCさんを登場させ、軽快なやりとりの中でMacの優位性をアピールする、というものだ。

もちろんAppleはこうしたキャンペーンを展開する裏で、デバイスが誰でも初見で操作できるようシンプルさを持たせるようにしたり、Microsoft OfficeやAdobeのクリエイティブ製品がきちんとMacに対応し続ける道筋を付けたり、セキュリティ面を強化したり、魅力的なデザインの製品を打ち出したりといったことに取り組んできた。

MacBook Airの成功は、薄型軽量でシンプルなデザインとして受け入れられていたが、Microsoft Officeが動作し、人気のあるシンプルなプレゼンアプリ「Keynote」や、ちょっとした写真、ビデオなどのメディア編集を手軽にこなせ、なにより長持ちする、といった基本的な機能の充実があったからこそだと言えるだろう。