ところで「Siriの検索候補(App)」という和訳はいまいちしっくりこない、と前々から思っていた。「Siri App suggestions」を和訳しているのだが、ニュアンスが違う印象がある。Siriのおすすめアプリだと、App Storeからダウンロードするアプリのことを指しているようだし、提案、というのもおかしい。レコメンデーションがしっくりくるのだが、英語環境でRecomendationという言葉は使っていない。なかなか難しいところだ。

現在のアシスタント機能はアプリの提案に加えて、メールやメッセージの中身をみて、最適な返信をタップだけで行えるよう、予測変換候補に提示してくれる機能も実装されている。これらに加えて、ストリーミング音楽やビデオの提案や、スマートホームのシーンの提案など、提案して欲しいことはたくさんある。とくにスマートホームのシーンは、自分でパターンを作らなければならず、プログラミングに近い感覚が必要となる。これは明らかに、Siriの仕事だ。

AppleがOSやプラットホームレベルで実現するこうした提案や自動処理を、サードパーティーのアプリも行えるようになることが、次のiPhone向けアプリのポイントになる機能になるだろう。

松村太郎(まつむらたろう)
1980年生まれ・米国カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に「LinkedInスタートブック」(日経BP刊)、「スマートフォン新時代」(NTT出版刊)、「ソーシャルラーニング入門」(日経BP刊)など。ウェブサイトはこちら / Twitter @taromatsumura