今後の情報教育でテーマとなるのがコード教育、プログラミングだ。石井氏は、課題は大きいという。

石井 立教小学校では1年生から英語を学習していますが、多くの場合、小学校でのコード教育のネックはアルファベットでしょう。実際に使われているコードを扱おうとすると、英語、アルファベット、キーボードの問題がより大きく影響します。また、コード教育自体、ハードルが高い存在です。例えばHTMLやCSSといったコードを意識させたり、構造の仕組みを理解してもらうことはできるでしょうが、JavaScriptを自分で組んでみようとなると、現状のように各教科からの持ち出しで実現しているiPadやMac活用の授業時間では絶対的に足りません。クラブ活動を通じてプログラミングに取り組んでいますが、実際の教室で授業に落とし込もうとすると、Scratchでも正直難しいところです。

AppleはSwift Playgroundsを公開し、iPadだけでSwiftに入門できる環境を用意した。Swift Playgroundsでは、授業を行う上でのハンドブックもダウンロードすることができるが、それでも「アレンジは必要」と指摘する。

一方で、コード教育をより円滑にしていく考え方への気づきも得たという。

石井 コードも言語の1つだというとらえ方は、教える側、学ぶ側の敷居を大きく下げることになると考えています。そのために最も重要なのは「国語も日本語という言語だ」という前提を共有することでしょう。そうしなければ、国語、英語、コードがそれぞれ言語であるという認識を作りにくいと思います。日本語という言語で論理的な思考ができなければ、コンピュータに伝わる言語でも論理的なことが考えられません。国語が変わること。これがコード教育にとって最も重要な鍵となるのではないでしょうか。