iPadを用いた修学旅行のビデオレポートの授業は、「取材とビデオでのまとめ」という目的が設定されたことによって、修学旅行そのものが集中力高く、また充実したものになった、と石井氏は振り返る。

社会科以外では、どのような活用が進んでいるのだろうか。

石井 英語科では、ネイティブの発音を聞くことができるビデオや、自分たちのスピーチの撮影など、英語に触れるチャンスをiPadで増やしています。また理科では、実験の様子を撮影し、やはりビデオでレポートをまとめるといった取り組みが定着しました。最近面白かった例は家庭科です。iPadのKeynoteを用いて、自分たちが考える理想の給食を考える、という課題は、最も盛り上がった授業でした。給食の写真を組み合わせて、自分にとって理想の献立を作り上げるのです。給食室と組んで、生徒たちのベスト給食を実際に提供しました。食に関心を持ってもらうというテーマを達成しましたし、卒業記念給食のアイディアも生徒たちと考えることができました。

修学旅行の取材から、iMovieとGarageBandを使って、グループごとにビデオレポートを作成する。編集担当、音楽担当などの役割分担も、グループごとに行い、iPadとMacを駆使して編集作業に取り組んでいた

iPadを様々な授業や課題で活用するアイディアは、学校内でも活発に議論が進んでいると石井氏。担任の先生の教科での活用が進まなければ、拡がっていかないからだ。特に、主要科目である国語、算数、理科、社会でどのように活用するかは重点的に検討している。 例えば国語の場合、最大のネックは縦書きの入力や表示に弱い点が指摘されている。標準アプリでは縦書きができないため、「コラボノート」など、縦書きに対応するアプリを検討するといった議論が交わされているという。

同時に、東京の私立小学校54校での研究会でも、テクノロジー活用の方法について議論が進んでいる。立教小学校からは、算数の図形の単元でiPadをどのように利用するか、発表を行った。