AppleはFoster + Partnersとともに、Apple Parkのデザインを行ってきた。Appleは必ずしも、Apple Parkで用いられている環境に配慮した建築物について、ユニークなものにしない考えを持っているようだ。
2016年5月にサンフランシスコの中心部にオープンさせた「Apple Union Square」。観光とショッピングの拠点に登場した直営店も、Apple Parkと同じくFoster + Partnersが設計を手がけている。この建物には、前述の宇宙船に採用されている技術がいくつも取り入れられていた。
まず空調システム。1階から新鮮な空気が入り、2階の天井へと抜けていく自然吸気システムが設置されており、1年の中でより長い期間、冷暖房を使用せずに室温を保つことができる工夫がなされている。また床には水のパイプが通り、冷暖房を水によって管理する仕組みだ。
加えて、天井は均等な光を落とすパネル、そして少ない光を反射し室内をより明るくする白い床を敷設しており、こちらも省エネルギー性に優れた照明システムが導入されている。もちろん巨大な窓は、自然光を最大限に取り込み、やはり照明の使用を最小限に押さえることができる。
Apple Union Squareの空調や照明の工夫は、Apple Parkでも同様で、屋上にソーラーパネルを据えている点まで共通だ。いわば、宇宙船のミニチュア版が、サンフランシスコの中心部に現れたようなものなのだ。
このように、環境に配慮する「仕組み」は、必ずしも1つの建物のためのものではなく、今後Appleが建設する建物には、なんらかの形で、環境配慮技術やデザインが採用されていくことになるだろう。これを筆者は、「環境配慮のデザインのモジュール化」と名付けた。
これらはもちろんAppleの直営店や本社を特徴付ける存在となっているが、多くの企業がこうしたデザインを競い合って採択することは、結果的に、持続可能性をより高めることになるだろう。