Pebbleはスマートウォッチの草分け的な存在だ。歴史になお刻むほど大成功したKickstarterでのクラウドファンディングキャンペーンで一気に有名になり、アクセラレータープログラム(Y Combinator)でのスタートアップにしては珍しく、売上を伸ばしてきた企業だった。

しかしPebbleは、その事業の大半をFitBitに売却することを決めた。スマートウォッチを世に紹介した存在であったPebbleの終焉に惜しまれる声も集まっているが、その売却先がアクティビティトラッカーを前面に押し出すFitBit、というのに複雑な思いを巡らせてしまう。

Pebbleには3軸モーションセンサーが内蔵されていたが、アクティビティトラッカー機能を導入したのは2015年12月からだった。現在Appleも、スマートウォッチを紹介するきっかけに運動を据えているが、Pebbleはそうではなかったのだ。その思想は、Pebble Coreといわれる、ウェアラブルデバイスと連携可能な、手の平に収まるコンピュータを登場させたことからも伺える。

ウェアラブルデバイスとして、スマートウォッチが、活動量計測以外にもいろいろなことができるのではないか。その可能性を追求するため、Pebble Coreには開発者向けに、アプリ開発の可能性を与えていた。そうした可能性を模索する中で、Pebbleはその事業を売却する選択をした。

3,400万ドルから4,000万ドルと言われる買収金額は、Pebbleが抱える負債をちょうど完済する程度。2018年まではPebbleブランドが続いていくことになるが、Pebbleの思想が引き継がれるかどうかは分からない。