筆者は2016年11月、東京・豊島区にある立教小学校を取材した。同校では小学校3年生からiPad miniを1人1台持って授業で活用するテクノロジーを導入する教育が推進されている。
その際、見学できたのは、修学旅行のレポートを4人1組でビデオに落とし込むという授業だった。
修学旅行前から綿密な取材計画を立て、アナウンス原稿を作り、撮影場所を選定する。わいわい騒ぎそうな新幹線の中も、取材準備に熱が入り、非常に静かだったというから驚かされる。生徒は、京都の旧跡をiPadを使って写真とビデオに収め、帰ってきてまとめるのだ。1人1台のiPadから、やはり1人1台揃えてあるiMacにデータを移し、iMovieで映像を、GarageBandで音楽を編集し、4人で1つのビデオを作り上げる。分担も生徒に任せてあり、どう作業をするかも自由だという。
こうした授業を進めているのは、立教小学校でメディアセンター長を務める教諭、石井輝義氏だ。石井氏は社会科を担当しており、iPadとMacを使った修学旅行のビデオレポートは、社会科の授業として取り組んでいるとのことだ。
立教小学校では英語に力を入れており、iPadも英語科の要望から実現したという。しかし英語教科だけのためにiPadを購入するのは理解が得にくいということで、他の教科での活用を拡げていこうという流れとなった。社会科では修学旅行のレポート作りに利用しているほか、理科では実験の様子を写真やビデオで記録するといったことが行われているという。
こうした取り組みは、パソコンの使い方、タブレットの使い方そのものを習得することがテーマではなく、他の目的のためにテクノロジーを活用する、というアプローチの違いがあり、後者があるべき姿だと筆者も思う。