MacBook Proに搭載される新しいTouch Barは、「Macに、モバイルデバイスで培ってきたマルチタッチインターフェイスをどのように適用するか」というアイディアで考えられてきたという。ボタンが表示されていると、キーボードの物理的なキーと違和感がないが、いざ触ってみると、非常に滑らかな心地よい感覚が伝わってくる。このバーには、システムの機能や設定であるSiri、ボリュームやディスプレイの明るさ調節といった機能の他に、アプリの操作状況に応じた機能ボタンが表示される仕組みだ。
例えば、「写真」アプリで写真を見ている時には、「お気に入り」「画像回転」「編集」ボタンが表示される、画像のサムネイルをタッチしてスクロールできる領域が現れる。そこで「編集」ボタンを押すと、Touch Barには画像編集の種類が表示され、例えばクロップのアイコンをタップすると、Touch Bar中央部には定規のようなツールが現れ、これをスライドすると画像の回転を調節することができるようになっている。Touch Bar主導で操作を進めていくことも可能で、もし写真やビデオ再生などを全画面表示している場合には、そのコンテンツの上にツールバーや再生コントロールが被らないようにできる。この辺りは快適な操作感をもたらしてくれる。
文字入力中は、日本語や英語ではmacOS SierraのQuickType機能により、文脈に応じた予測入力が利用できる。Touch Barから次の語句にふさわしい単語を選択すれば、次々に予測結果が変わっていく。もちろん通常の入力の際の変換は、画面の中に現れる仕組みだ。このように、Touch Barは、既存のキーボードとトラックパッドでのコントロールはそのまま残しつつ、機能を簡単に呼び出すと便利な場面で、新しい操作方法を提供してくれている。基調講演では、すでにTouch Barへの機能を実装しているパートナーとして、Adobe、Microsoftなどの主要なクリエイティブとオフィス系アプリが紹介され、DjayやGarageBandといった音楽系、Final Cut Proなどの映像制作系のアプリのデモも披露された。Adobeのデモでは、トラックパッドとタッチパッドを同時に操作しながら画像編集を進めており、アプリ開発者は、Touch Barを絡めた新しい操作体系を、今後も編み出していくことになるだろう。