「Z」の魅力は製品定格でのパフォーマンスとLEDギミック。意外とSLIや初心者にやさしい!?
ここまで、MSIのGAMINGシリーズグラフィックスカードを検証してきたとおり、「Z」と「X」でモードによる違いはあるが、GPUクロックだけでなく、メモリクロックについてもOCされているため、より高いパフォーマンスが得られる。現行タイトルのほとんどが、1,920×1,080~3,840×2,160ドットの高画質設定で楽しむことができることに間違いはない。
また、クーラーも、冷却性能、静音性ともに完成の域に達しており、こちらの点でもユーザーの期待に応える内容だろう。あとはインパクトという点だが、「Z」に関しては、トリプルファンの代わりにLEDイルミネーション機能があると考えれば、ケース内で十分な存在感を出してくれるだろう。
さて、「Z」と「X」のどちらを選ぶべきか悩ましい。まず、製品のデフォルトクロックでは「Z」のほうが高い。しかし、Gaming Appを導入し、OCモードを選んでしまうと、体感上でのパフォーマンスはほぼ同じだ。
パフォーマンスという点で見ると、「Z」は製品定格のまま使う用途、つまりSLIを組むような場合では優位に立てるだろう。ほかは、エンブレムのイルミネーションのようにデザイン面のニーズがあるが「Z」と「X」では価格差もそれなりにあるので、そこを考えると「X」のコストパフォーマンスが際立つ。
また、SLI検証のとおり、GEFORCE GTX 1070 GAMING X 8GのSLIを狙うのは意外とアリだ。GeForce GTX 1080搭載カードが10万円前後する現状、GEFORCE GTX 1070 GAMING X 8G×2枚でおよそそれと同じ予算。一方、パフォーマンスは大きく引き離せる。
もちろん、タイトル側がSLIに最適化されている必要があることと、現状のメインストリーム向けプラットフォームでは、SLIとSLI HBで明確な差がつかない点は注意したい。つまり、メインストリームプラットフォームでのSLIに限定すれば、(よほど古くなければ)旧SLIアダプタを使ってもそれほど大きなデメリットがないので、余裕が出たところでSLI HBに移行するというステップもアリだ。
こうした用途別に適したカードを選べるのも、GeForce GTX 10シリーズグラフィックスカードのラインナップが充実しているMSIならではと言える。ちなみに、GEFORCE GTX 1070 GAMING X 8Gに関して言えば、GeForce GTX 1070搭載製品として見て中間価格帯で販売されているため、クーラーの性能やデザインを考慮すれば、十分に満足できるコスパだ。
ここまで検証してきた感想をまとめると、GeForce GTX 1080搭載モデルでは「X」、GEFORCE GTX 1080 GAMING X 8Gのコストパフォーマンスが魅力、GeForce GTX 1070搭載モデルではシングルGPU・SLIともにコストパフォーマンスが魅力で、「X」がオススメではある。ただ、現状の販売価格を見ると例えばAmazon.co.jpでは、8,000円程度の差なので、背伸びして「Z」を狙うというのもありだろう。