Twin Frozr VIクーラーの特徴を確認
ここからは4製品の共通仕様を軽く説明しておこう。共通スペックとして挙げられるのがクーラーだ。MSIのオリジナルクーラーとしておなじみの「Twin Frozr」は、GeForce GTX 10シリーズ搭載製品から第6世代の「Twin Frozr VI」に刷新。前世代のTwin Frozr Vから冷却性能を向上させた。
「Twin Frozr」の特徴としてまず挙げられるのは、デュアルファンのレイアウト。現在、ハイエンドグラフィックスカードのトレンドは、トリプルファンに移行しつつある。MSIでもOCに特に力を入れたLightningシリーズはトリプルファンだ。一方で、ゲーミングモデルは伝統的なデュアルファンをそのまま採用している。
デュアルファンのメリットといえばサイズだ。トリプルファンモデルと比べると、カード長がやや短いので、ミドルタワー型はもちろん、ミニタワー型やキューブ型など様々なPCケースと相性がよい。
さて、第6世代の「Twin Frozr VI」では、2つ進化した点がある。1つ目はファンブレードが特徴的な「トルクスファン 2.0」だ。前世代の「Twin Frozr V」では、トルクスファン 1.0を採用していたが、「トルクスファン 2.0」では、ブレードのひねりがより大きくとられており、エアフローを向上させたという。ファンの軸は静音性に優れた2ボールベアリング仕様だ。
コラムGAMING Z 8GおよびGAMING X 8GのGeForce GTX 1080/1070搭載モデルについては、MSIから2ボールベアリングであるという言質がとれた。GeForce GTX 1060搭載モデルのGAMING X 6Gに関しては、Twin Frozr VIでありトルクスファン 2.0であるが、2ボールベアリングではなくスリーブベアリング仕様だ。2つの違いは何か。一般的に2ボールベアリングは耐久性が、スリーブベアリングは静音性が優れているとされる。例えば、一般的なグラフィックスカードの買い替えサイクルを超え、3年、4年と使いまわしたい場合には、2ボールベアリングモデルを、2年サイクルで更新する前提で、静音性とコストをより重視するならばスリーブベアリングモデルを選ぶのがよいだろう。 |
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また、2つ目の進化点はヒートパイプだ。一般的なヒートパイプは丸パイプでTwin FrozeでもVまではこれが採用されていたが、Twin Frozr VIのヒートパイプは角パイプへと改められた。丸と四角を比べれば分かる通り、同一面積では四角い方が幅を狭くすることができる。Twin Frozr VIでは角パイプ「スムース ヒートパイプ」により、GPU接触面という制限された面積のなかで、V世代よりも多くのヒートパイプを実装可能としている。
GPU温度が低い状態ではファンの回転を停止する「ZERO FROZR」機能も搭載している。検証中でもアイドル時から高負荷時まで、高い静音性を実感できた。MSIのGeForce GTX 900世代カードと10世代カードで、外観に大きな変化がなかった点を残念と感じている方も多いようだが、Twin Frozr自体は進化を重ねているわけだ。
基板は同社のオリジナル設計で、GeForce GTX 1080/1070の「Z」および「X」では10フェーズ仕様となっている。合わせて補助電源コネクタを、リファレンスの8ピン1基に対して6ピン1基を追加することで、最大225Wまでの供給を可能としている。
コンポーネントに関しても、同社の基準「ミリタリークラス4」に準拠しており、耐久性や低発熱、長寿命を特徴とした、Hi-C CAPやスーパーフェライトチョーク、日本メーカー製固体コンデンサなどから構成される仕様だ。