最後に、優秀賞(賞金10万円)と最優秀賞(賞金20万円)が各1チームずつ発表された。
優秀賞にはBチームの「あしたの食卓」が選ばれた。これは、ミニマルファーマーやスマートまたぎ、ウェアラブル魚群探知機を活用するスマートフィッシャーなど、ウェアラブル関連のコンピューティングを利用することで一次産業に副業的に取り組めるようになり、それが家庭の食卓とつながるというアイデア。
審査員の伊藤氏は、「今回は、より人間らしいコミュニケーションや行動のためにコンピューティングを使おうというアイデアがいろんな方から出てきた。それを非常に表しているものとして、このBチームの発表を選んだ」と選考理由を挙げた。
場所にしばられないドローンハウス
最優秀賞にはEチームの「場所にしばられないドローンハウスの生活」が選ばれた。
これは、移動型のコンテナにより、場所にしばられない生活ができるようになるというアイデア。現在でも気球を使って何かを継続的に飛ばすという技術があるが、それをコンテナハウスに応用して、家ごと移動したい時だけ気球が展開して好きな場所に飛んでいけるようになる。
これにより、たとえば寿司職人が好きなタイミングで海に行って魚をとって、好きなタイミングでパリやロンドン、ニューヨークなど、好きな場所に自分の店を構えることができる。あるいは、非常にアウトドアが好きな開業医がチョモランマのてっぺんに病院を建ててしまうことも可能になる。普通のOLも、いろんな都市で生活して、いろんな都市で仕事することができる。ひいては人口過密問題の緩和にもつながっていくという理想未来を描いた。
審査員の留目氏は、「今回は"人間らしさ"のためにテクノロジーを使うアイデアが多かったが、その"人間らしさ"の方向性が、温かい"愛情"と、突き抜けた"開放"のふたつに分かれていた。その中でBチームの『あしたの食卓』は温かい方の代表だったが、もう一方の"開放"の代表が、Eチームの『場所にしばられないドローンハウスの生活』だった」と評した。
ちなみに、審査では「Eチームのドローンハウスには、将来的に住む場所も関係なくなるんじゃないかという新しい価値観が入っていた。また、衣(移)食住がすべて入っていた」のも評価が高かった理由だという。
このあと再び留目氏が登壇し、「現在の会社単位のライフスタイルは10年後には大きく変わっていると思う。今回のワークショップで考えた働き方やものの作り方、世界の作り方というものは、10年後にはもしかしたら標準になってくるのではないか。そのために今できることをやっていきたい。これからも理想の10年後を描いて実現していきましょう」と締めくくった。