ディスプレイは、Appleが「Pro Display」と説明する品質が向上したものを初めて搭載した。iPhone 6s Plusを使っていても、その発色の良さや明るさにハッとさせられるだけに、同時に発売された2013年発売のiPhone 5sと同じディスプレイを搭載するiPhone SEと比較すると、iPhone SEのディスプレイを見ていたくなくなるほどだ。
9.7インチモデルに初めて搭載したディスプレイの機能に、高色域ディスプレイとTrue Toneディスプレイの2点がある。
高色域ディスプレイはについて「ハリウッドクラス」と謳い、映画業界で用いられている色空間と同等のものを搭載すると説明する。iMac21.5インチモデルと27インチモデルには、 それぞれRetina 4K、Retina5Kディスプレイを搭載しており、この際にも「P3」という映画業界で用いられる色域をサポートするとの説明があった。
もう1つのTrue Toneディスプレイは、環境光に合わせてディスプレイ全体の色温度を変化させる仕組みだ。Appleは「より自然にディスプレイに親しめるように」と説明していた。何が起きるかというと、簡単に言えば「紙を読んでいるのと同じことが起きる」だけだ。 蛍光灯照明の下で紙を広げると、紙は白く見える。しかし電球色の照明の下では、紙面は電球の色に引っ張られて暖かみのある色にみえる。デジタルカメラで「ホワイトバランス」の設定があるのは、照明に応じて白を補正するためだ。カメラで補正していたホワイトバランスを、9.7インチiPad ProのTure Toneでは環境に応じて変えてしまおう、というアイディアだ。
iOS 9.3にはブルーライトカット機能としてNight Shiftが搭載され、こちらも日没後はディスプレイの色温度が落とされる。筆者の仕事の環境は電球色照明であるため、朝から夜まで、ずっとホワイトバランスが黄色く、ずれた状態で仕事をすることになる。テキスト作業などはこれで良いが、写真まで黄ばんで見えてしまうため、この機能をオフにしてしまった。
12.9インチモデルは、まだこの高色域ディスプレイではなく、True Toneも搭載していない。MacBookシリーズを含むAppleのモバイルデバイスのディスプレイとしては、最も高品質で高機能なディスプレイが、9.7インチiPad Proに搭載された、と指摘できる。