データ復旧のプロが語る「HDDの構造とデータ復旧技術」

くまなんピーシーネット 代表の浦口康也氏

ウエスタンデジタル公認のデータ復旧サービス「WinDiskRescue」を運営している株式会社くまなんピーシーネットの浦口氏が講演した。HDDの歴史から始まり、1986年に76社あったHDDメーカーが現在は3社になったことをチャートで説明。

それからHDDの構造と記録方式(将来実用化されるものを含めて)に触れ、まだまだ記憶容量が増えるとした。一方で、HDDのプラッタ(記録面)をはじめ各所の微細化が進むことで、10年前のHDDなら問題にならなかった小さな異常でも、現在のHDDでは致命的になってしまうという。

ここでHDD復旧の方法を紹介。HDDが不良になった場合「カコン!カコン!」と音がすることを例に、この現象はヘッドの1つが不良化しても発生する。このような場合、ベンダーユニークのコマンドを使うことによって、不良ヘッドがないものとして認識させ、読み出せるだけのデータを拾い集める。HDDには複数の磁気ヘッドが取り付けられていることから、不良ヘッドが読み取る以外の情報を(正常なヘッドで)吸い出すわけだ。一方、SSDの場合は、このような手法が使えないのでHDDよりも復旧が困難であるという。

HDDやSSDの復旧については、元データが多いほうが有利。よって、少なくともミラーリングが望ましいと、バックアップの重要性と方法もアドバイスしていた。

【左】レスキュー会社らしいスライド。修理に出してもデータが完全に復旧できるとは限らない。【中】1970年あたりからの、HDDメーカー統廃合のチャート。現在は3社のみ。【右】まだまだ実用化されていない技術が多いため、HDDの記憶容量≒記録密度はこれからも増大する予定

【左】容量が増えてもHDD本体の大きさは変わらないので、従来なら問題にならなかった欠陥が重大なトラブルに結び付く可能性も。【中】データ復旧作業の一例。特定プラッタが完全に読み出せなくても、そこに重要データがなければデータの復旧は可能。運の世界になるので、バックアップは重要だ。【右】一方、SSDはHDDのような復旧作業が行えず、本体と一体化しているものもあるので、データ復旧は非現実的(!!)だという