――現地で仕様を決めていたんですね。最終的にどんな製品を作るか決まった後は、どんなことをしていたのでしょうか。

最終的に仕様が決まると、ロット数や金額の交渉をしますね。細かい部品1個1個について、かなりハードに交渉します(笑)。この7月頭には仕様が大体決まっていて、中国では製造、日本に帰ってからは、流通を担当するDMM.comさんとも協力して、日本での流通の準備や倉庫の準備を進めました。

発表会の時には「汗臭くないハードウェア・スタートアップ」と紹介されましたが、実際私がやっていることは相当汗臭い(笑)。私は「昭和のものづくり」をやりたかったんです。携帯電話ベンダーの中で、カシオは特に小さなメーカーだったので、一人がやる仕事は沢山ありました。企画して終わりじゃなくて、売りに行くところがあれば手伝うし、バグがあれば倉庫へ行ってデバッグすると。販売の最後となる数字を追う部分までやれる環境でした。

――確かにそれは"汗臭い"(笑)。一人で全てやる、というよりは、工場の人たちやDMM.make Akibaの人たちと協力して進めているのですね。

今、本当に「昭和のものづくり」をしていると思っています。中国の工場も、法外なお金をふっかけられるわけでもなく、一緒に良い物を作ろうとしています。私はプロジェクトをそれぞれのメーカーさんと協力して抱えている状態で、私がプロジェクトオーナーであり仕様策定者で、工場ではほんとにエンジニアリングを提供するという状態で。社内の人みたいな感じですね。

この2カ月間で中国の工場を巡って仕様を決めて、製品数を決めて、工場と交渉して、帰国してからは営業と流通関係の事務作業をして……。相当ハードな2カ月で、いつ倒れるかと思ってました(笑)。

製品の販路は、リリース時点ではオンライン販売のみ。DMM.comの通販で流通を担当する