――本当に2カ月ですね。製品数も17種24製品と豊富でしたが、最初から何を作るか決まっていたんですか。
決まってはいませんでしたが、携帯電話は作りたかったですね。携帯電話を軸にすると、どういうラインナップが面白いかな、という観点からアイデアを出しました。飲食系だと、ピザ窯とか(笑)。自転車系、バイク系までアイデアはありました。
あまり広げすぎてもブランディングとして良くないので、夏商戦の8月まであと2カ月という時間的な制約も考えて、絞って24製品になりました。絞ったんです、一応(笑)。
それから、製品を作るあてを探して、中国の深センや香港、台湾、韓国などに飛びました。6月中旬頃ですね。最初から仕様を決めていたわけではなく、現地の工場で何がどこまでできるかを詰めながら、製品の仕様を決めていきました。たとえば携帯電話ケースのベンダーさんで、こういう塗装ができるよと言われる。「他にこういうのもできないか」と聞くと、「あ、できるよ」「オーディオ機器作ったことあるよ」と話が進む。「じゃあこれもできるか」と話しながら進めていく形でした。
――UPQではバッテリ内蔵型スーツケースや、タマゴ型の椅子など一風変わった製品もラインナップしていますね。それらを製造する中国の工場は、自分で調べて行ったのでしょうか。
工場は自分で調べて行ったのもあれば、中国に明るいCerevoの岩佐さん(UPQのサポート企業でもあるCerevo代表取締役の岩佐琢磨氏)に紹介していただいたのもあります。今回発表した、バッテリ内蔵型スーツケースは、独自に発掘した工場です。
中国の工場、行くと面白いんですよね(笑)。革モノ系であれば、杭州の海寧に集まっていたりして。工場の人との交渉の中で、他の工場を教えてもらうこともあります。日本もですけど、中国でも大手メーカーの工場が生産数の関係でがらっと空いている場合があって。とにかく工場のラインを稼動させたい、というケースがよくありました。
そんな状況で、ロット数の交渉も含めて、「こんな製品を作りたいんだが、おたくでは作れるか」という話をしてみると、工場側はラインを動かしたいので案外「いいよ」と言うんですよ。そもそも、日本や韓国の製品を作っている工場なので、質も悪くない。空いている場所をうまく使えばもっと面白いものができるんじゃないかと思って、次々と工場を開拓していきましたね(笑)。
中国の工場、精度が甘い時もあるんですけど、リトライも速いんですよ。サンプルに不具合があって「これは日本ではダメだ」と言うと、「明日までに直す。帰国を1日延ばせ」というやり取りもありました。
――現地で工場開拓とは、パワフルですね。初めて行った工場はどんな所だったのですか。
初の訪問は携帯電話の工場で、中国の深センでした。やっぱりバックパックで行きましたね(笑)。中国にも行ったことがなくて、本当に不安でした。中国語もわからないし、英語も微妙に通じない。
深センのある駅で待ち合わせて、工場の人と無事に出会ったまでは良かったんですが。「ここから2時間かかるから、これに乗って」と言われて出てきたのが、トゥクトゥク(三輪タクシー)だったんですよ(笑)。そのままトゥクトゥクに2時間乗せられ(笑)。どこに連れて行かれるのかと不安だったのですが、ちゃんとした、綺麗な工場に着きました(笑)。
どこの工場も行くまでに大体2時間くらいかかるんですけど、1日に5件アポを取ったりして。朝から晩まで工場を巡っては交渉して、という作業を弾丸でやってました。現地で仕様を決めるんですが、上手く英語にならず、日本語ではこうなんだけどな、と言いながら、絵や漢字を書いて筆談したり(笑)。