2015年8月、UPQ(アップ・キュー)というハードウェア・スタートアップが、東京・秋葉原から彗星のごとく誕生した。発表会では、スタートアップとしては異例の17種類24製品という大量の生活家電が登場。また、これらの新製品が約2カ月という短期間で企画・製造したことも話題となった。CEOの中澤優子氏がものづくりに懸ける情熱の源泉はどこにあるのか。
インタビュー後編では、ハードウェア・スタートアップ育成事業の海外派遣から帰国後、実際にUPQ設立に向けた動きを聞いていく。
――ところで今まで話を聞いてきて、中澤さんは非常に機械に詳しい印象を受けますが、実際はどうですか。
実は、普段はすごく機械が苦手なんです、PC固まったら電源抜くし。でも、携帯電話だけはものすごく詳しいんですよ。この間確認してみたら、今まで74台の携帯電話を使ってました(笑)。
――74台! もはや携帯電話マニアじゃないですか(笑)。
職業柄もあるんですが(笑)。ドコモ、au、ソフトバンク、ワイモバイルそれぞれのSIMが入った携帯電話を、ずっと通信しっぱなしにしておくんですよね。それだけで常時4台なんですけど、ずっと(通信を)流しっぱなしにしていると、携帯電話はすぐ壊れちゃうんですよ。カシオ時代は仕事のためでしたが、なんかまだやってますね。毎月の通信費、すごく高いです(笑)。
携帯電話についてはコレクター気質もあるんですが、新しい端末が出たからすぐ買う、という方向じゃなくて。例えば「iPhone 6s」が出ても買わないですけど、通信を流しっぱなしにしている携帯電話が壊れると4台一気に買い替え、なんかはしますね。その時その時で自分が欲しい端末を買います。気づいたら増えてた、という感じですね。
――その偏愛が、UPQで携帯電話を作ることにつながるんですね(笑)。話を戻しましょう。カフェを経営しながらも、周囲の環境が整いつつあって、くすぶっていたものづくり精神が燃え始めたと。UPQの事業は、フロンティアメイカーズが一段落したあと、手を付け始めたのですか。
いえ、ワンクッションありました。フロンティアメイカーズとカフェの仕事が一段落したのが2015年の6月頭でしたが、その頃にお休みを取ってスイスで趣味のスノーボードをしてました(笑)。
日本に戻ってきた6月上旬から、どういう形でできるかわからないけれど、ハードウェア・スタートアップをやってみようかと考え始めて。UPQの発表会が8月6日だったので、考え始めた時期から、だいたい2カ月くらいですね。