全ての写真をアップロードしたくなる「無料・容量無制限」
ポストPCの次に来る未来とは、アイデンティティやコンテキストの理解に基づいたユビキタスコンピューティングだ。人やもの、場所、時間、アクティビティなどをGoogleが理解し、それらに基づいて有用なサービスを提供する。
たとえば、基調講演で発表された新しいオンライン写真サービス「Google Photos」である。16メガピクセルまでの写真と1080p以下のビデオなら「無料・容量無制限」、高画質のままクラウドに保管できる。Googleは「生涯の記録を残す場」とアピールしていた。
試してみたが、無料・容量無制限というだけではなく、Photosは優れた写真サービスである。アプリはモバイルでもWebでも軽快に動作する。特に便利だと思ったのが、機械学習を活かした写真の自動整理機能だ。アルバム分けやタグ付けなど、写真整理は面倒な作業だが、Photosは人や被写体、場所、時間などで自動的に写真を分類してくれる。ユーザーは、ただバックアップするだけ。スマートフォンだったら、ただ撮影するだけで、いつでもすぐに写真を楽しめる状態がPhotosに整う。
機械学習こそPhotosの肝であり、基調講演のデモでは、十数年分の写真をアップロードするだけで、同じ人物が赤ちゃんの頃から中学生になるまでの記録が自動的にアルバム化されることを示した。Googleがこれほど高い精度で人を見分けられているのは、これまでに膨大な数の写真を処理し、エラーを繰り返しながら地道に機械学習を成長させてきたからだ。
人物認識だけではない。写真には豊かな情報が含まれる。人のつながりや、過ごした環境、生活習慣や好みなど、写真解析からは様々な情報を収集し、分析できる。それらはアイデンティティやコンテキストに基づいたサービスを提供するための情報になり得る。
これから無料・容量無制限に魅力を感じた人たちがPhotosを使い始め、さらに多くの写真がアップロードされることで機械学習はより精度を増していくだろう。Photosの有用性は継続的に向上し、Googleのビジネス機会も広がる。Webメールサービスの容量が数十MBだった時代に、容量1GBで登場したGmailがそうだったように、Photosの無料・容量無制限は良循環を生み出すきっかけになり得る。