Google I/Oが始まる直前に、New York Timesに掲載された「市場を制しても先行き不透明なAndroid」というコラムが話題になった。
同コラムでは、世界の隅々にまでAndroid搭載デバイスが浸透しているものの、その規模をGoogleは同社の収益に結びつけられていないと指摘している。2014年にAndroidスマートフォン事業の利益は44%減だったという。中国ではGoogleのサービス提供に制限がかけられ、急成長しているAOSP(オープンソースのAndroid)採用メーカーは自ら提供するサービスから収益を上げている。Googleのモバイル広告事業は今でもiOSからの収入が大きく、モバイルプラットフォームでライバル関係にあるAppleとのパートナーシップがなくなるとGoogleの広告収入が大きなダメージを受けるという皮肉な状況。著者はさらに、低価格なAndroid端末でスマートフォンを使い始めたユーザーがパワーユーザーになってからiPhoneを選ぶケースが増加していると指摘。最後に「Androidはトリッキーな戦略であり続けた。大きな成功を経て、さらに扱いにくいものになったようだ」としている。
Androidが数量的に成功していることに異論を唱える人はいないだろう。しかし、この2年ほどのGoogleは決算発表のたびにモバイル不振が指摘される状態に陥っている。対照的に、Facebookはモバイルで好調だ。2014年の第4四半期決算においてFacebook COOのSheryl Sandberg氏は、Cookieベースのデジタル広告は1台のデバイスをユーザーとみなしているようなものだと指摘した。今や1人がスマートフォン、PC、タブレットなど数台のデバイスを使いこなしている。Facebookはデバイスではなく、本当のユーザーをべースにしたターゲティングを広告主に提案できている。その違いが、Googleがモバイル市場でFacebookにリードを許す結果になった。
Googleの課題は、モバイルでも広告主を納得させられる価値を提供すること。Facebookのようにデバイスではなく、人をターゲットにしなければならないが、満を持して投入したGoogle+も成功させられなかった。そこでソーシャルネットワーキングで対抗するのではなく、Googleらしい方法を選んだ。それが「ポストPCの次に来る未来」である。