Apple Pay登場以降のモバイルペイメントの動向に注目

以前、マイナビニュースの中でもApple Payに関する考察を複数回にわたってまとめてきたが、2014年は米国においてNFCによるモバイル決済元年ともいえる年となった。

NFCによるモバイルペイメントという話ではGoogle WalletやSoftcard (旧Isis)などがすでにサービスインした米国市場だが、利用者数やユーザーインターフェイス、そして利用環境という3つの側面で、それほど「NFCによるタップ&ペイ」という仕組みが市民権を得ていたとは言い難い。

だがApple Payはセットアップが非常に簡単なうえに、対応カードや銀行がローンチ時点で幅広く対応しており利用のハードルが低かったこと、そしてEMVというチップ付きクレジットカードの2015年強制導入に合わせてNFC読み取り端末が全米規模ですでに展開されていたことなど、Apple Payをローンチするうえで非常に好条件が揃っていたことが大きい。難点といえば「iPhone 6または6 Plusのみ」という対応機種の幅の狭さだが、単一機種でiPhone以上に売れている端末がないことを考えれば、Apple Payが「タップ&ペイ」のお手本として広く普及に貢献する最初のサービスになると考えても問題ないだろう。

このApple Payについては、2015年以降の展開を考えると面白い。仕組みの詳細については先ほどのリンクの記事を参照いただきたいが、Apple Payは基本的に既存のNFC決済インフラでそのまま利用できるようになっており、アクワイアラ側の決済ネットワーク処理における問題がない限り、例えば米国でApple PayをセットアップしたiPhone 6を欧州に持ち込んでも問題なく利用できる。

フランスのランスという街にあるブーランジェリー「Paul」にあるIngenico製のNFC対応決済ターミナル。iPhone 6でApple Payを使って支払うことが可能

実際、筆者はフランスで何度もApple Payの決済に成功している。問題は「米国外の地域で発行されたクレジットカードをApple Payに登録できるか」という点で、Appleが各地域の銀行と個別交渉を行っている様子が伝わってきている。典型的なものは英国での話題で、英国の大手銀行各社とAppleが交渉を行っており、条件面での折り合いで難航しているというものだ。ただ、現在のiPhoneのシェアを考えればApple Pay受け入れを拒否する理由は低く、おそらく英国での2015年におけるサービスイン発表は時間の問題だと考えている。