Googleが失敗した世界、Appleはどうか?
Googleは失敗したが、Appleなら大丈夫かといえば難しい話だ。実際、過去にAppleがeSE方式でのモバイルペイメント業界参入を試みたものの、特に欧州方面の携帯キャリアらの強い反発に遭って断念させられたという話を聞いている。
状況証拠から考えてiPhone 4Sが発表された前後の時期だと考えているが、以後同社がNFCから距離を置いて急速に別の技術を模索し始めたのも偶然の産物ではないと筆者は予測している。9 to 5 Macの記述によれば、The Informationは関係者の話として「AppleはNFCよりもBluetoothやWi-Fiの利用を検討している」と伝えており、少なくとも現在NFCで確立している「タップ&ペイ」のような仕組みを使うつもりはないようだ。ただNFCの利用いかんにかかわらず、新型iPhoneでeSE方式を採用することに、携帯キャリアが再び反発することはないのだろうか?
筆者の考察でいえば、「携帯キャリアはAppleの行動を問題視しない可能性が高い」とみている。2年ほど前までは「SIM方式以外認めない」と非常に強硬態度が目立つGSMAなどの業界団体だったが、ここ1年ほどは競合技術に比較的寛容になっており、まずはインフラ普及を優先しているように見える。直近の例ではSamsungの「Galaxy S4」がeSE方式でNFCによるタップ&ペイを実現していたが、多くが知るように世界中の市場に問題なく同端末が投入されている。
ただし、このeSE対応の「Samsung Wallet」と呼ぶべきサービスには結局アプリケーション(サービス)がほとんど用意されず、事実上使われないまま死蔵されることになった。これは競合以前に、こうしたサービスを開発して立ち上げるハードルがいかに高いかを示している。