もう1つ怖いのは株主らの動向だ。Sprintにおけるソフトバンクの持ち株比率は未公表なものの80%以上といわれており、一方のT-Mobile USAについては日経の記事にもあるように67%の株式をDeutsche Telekomが保有しており、そのうちの50%をSprintが取得しようとしている。
議決権については問題ないと思われ、さらにDeutsche Telekom自体がAT&Tの買収提案のころから投資負担に耐えかねて米国市場からの撤退を模索し続けており、今回のSprintによる買収提案は「渡りに船」だと考えていることだろう。
ただし、Deutsche Telekom以外の既存のT-Mobile USA株主や敵対買収提案を考える企業の存在も考えられ、「1株あたり40ドル」の買収提案がすんなりとはいかない可能性もある。ライバルとの駆け引きとの結果、買収価格の行方に注目しているといいかもしれない。先ほどの「49~50ドルのレンジ」というのが1つの目安だ。
そしてもし買収合意の発表を行った場合、ソフトバンク~Sprint連合は「進むも地獄、退くも地獄」という状況に直面する可能性が高い。1つはライバルらとのせめぎ合いの結果、まず買収価格の引き上げという地獄が待っている。
そしてもしFCCによる認可を得たとしても、その条件として「周波数帯域の一部を手放す」という"枷"をはめられる可能性がある。