買収におけるハードルと今後
今回の買収におけるハードルは次のポイントになる。
ライバルらの買収妨害を目的としたロビー活動(AT&TやVerizon Wirelessなど)
既存株主らによる買収価格の吊り上げや、敵対買収提案
FCCが実際にSprintによるT-Mobile USA買収を認めるのか
もしFCCが認可した場合の代替条件(特定の周波数帯域を諦め、手放すなど)
もしSprintとT-Mobile USAが正式に買収合意を発表した場合、まず最初に考えられるのがライバルらの妨害工作だ。特にFCCによってT-Mobile USA買収を断念させられたAT&Tについては、執拗にSprintの行動を妨害してくると予想される。
Sprintの突破口は常々ソフトバンクの孫正義氏が主張している「米国の携帯市場は事実上大手2社の寡占状態にある」という考えで、これを理由に3位以下にチャンスを与えて競争を促すべきというものだ。
最近になり加入ペースを増やしているT-Mobile USAだが、依然として体力的な面では厳しいとみられ、Sprintとの合併で投資や調達の効率化を行い、インフラを整備していくことで大手2社に対抗していくのが重要だと考えられる。ここ最近になり、米国ではComcastによるTime Warner Cable、AT&TによるDirecTV買収など、同業者による大型買収案件が相次いでおり、このあたりを含めたFCCの判断に注目が集まることになる。