「買収合意≠買収決定」ではない、今後の進展プロセス
前述のように、今回の報道で「買収合意」により近付いたというだけで、外から見える変化はほぼないに等しい。ただ、買収の当事者であるSprintならびにT-Mobile USAのボードメンバー、そしてそれぞれの親会社であるソフトバンクと独Deutsche Telekomの間での合意が行われ、会社としての買収完了に向けた処理が次のステップで進んでいくことになる。
(1) FCCを含む政府関連機関による審査と承認
(2) 株主総会による買収を許可するかの投票
(3) 買収完了
最初の(1)のFCCを含む関連機関の認可が出た時点で株主総会が実施され、それが了承されれば買収がそのまま完了する形になる。SprintによるClearwireの例を挙げれば、FCCの承認を受けたのが2013年7月3日、株主らによる投票が同月8日、買収完了が同12日となっている。つまりFCC承認から2週間と経たずに買収が完了している。一番難しいのは(1)に至るまでのプロセスというわけだ。SprintによるClearwire買収の話題が出たのは2012年12月だったので、実質半年以上の期間を経ている。
ただしSprintによるClearwire買収のケースでは、すでにSprintがClearwire株式の51%を保有する大株主で完全子会社化を狙っての買収提案だったという面も考慮すれば、今回のようなSprintによるT-Mobile USA買収のようなライバル同士の合併よりは難易度が低かったと考えられる。