7月12日未明、日本経済新聞のオンライン版は「ソフトバンク、米携帯4位買収で大筋合意 融資枠4兆円」と報道した。これはソフトバンク傘下の米SprintがT-Mobile買収で"ほぼ"合意したという話題だが、これの持つ意味と背景を簡単に整理したい。
6月初旬の状況から大勢に変化なし
まず前提として、今回の報道の内容は前回6月初旬に複数のメディアが報じた「SprintがT-Mobile USAの320億ドルでの買収合意」という状態からほぼ変化していないという点に注意したい。
7月11日(金曜日)終了時点でのT-Mobile USA株価は33.50ドルで、時価総額は269億ドル。前回は1株あたり40ドルでのT-Mobile株買収を想定していたという話なので、11日付けの時価総額と株価から割り出した株数に40ドルを掛けると、約321億ドルということになり、これが320億ドルでの買収合意の数字となっている。
なお、今回の日経の報道で紹介された新しいトピックが「融資枠4兆円」という部分で、原稿執筆時点の「1ドル=101.43円」という水準を考えても「約394億ドル」になり、321億ドルと比較して23%ほど上乗せされている。これは、買収額が吊り上がることや諸費用を想定したものと思われる。単純計算で、仮に買収価格が1株あたり49~50ドルのレンジに上がっても耐えられる水準だ。
日経の報道が行われた時間帯は米国時間で11日昼であり、ちょうど午後1時(東海岸時間)のタイミングで株価が1ドルほど急上昇していることが確認できる。