爆睡したレポーターも

ほかにもART(Android Runtime)を標準ランタイムとし、テッセレーションやジオメトリシェーダ、ASTCテクスチャ圧縮をサポートするAndroid Extension Packを備えるなど、Android Lは今日のAndroidアプリ開発者の不満を解消し、可能性を広げるリリースになりそうだ。そして、あらゆるスクリーンにAndroidを広げる役割を担う。Googleが「Androidの歴史で最大のリリース」とアピールするのも大げさなことではない。

現行のプログラム実行環境であるDalvikと、Android Lで標準になるARTのパフォーマンス比較

ただし、基調講演を通じてそれが開発者やユーザー、メディアに伝わったかというと、残念ながら疑問符が付く結果になった。最後に厳しいことを言うと、内容は濃かったのに、基調講演そのものが要領を得ない構成になっていて、長い時間が次第に苦痛に感じられるようになった。会場も同様だったようで、速報ツイートが「冗談じゃなくって、オレの隣りに座りながら爆睡しているレポーターがいる」になってしまう始末。WWDC 2014の基調講演も2時間の長丁場だったが、終始興奮したツイートが会場から流れてきたのとは対照的だった。

Apple好きは、基調講演で製品や新サービスが発表されるところからAppleの体験が始まるという。たかが基調講演、されど基調講演だ。Appleのようなワクワク感を起こせたら、新製品をたまらなく魅力的で素晴らしいものに見せられる。逆に上手く伝わらないプレゼンテーションが、せっかくの発表を色あせさせることもある。今回のGoogle I/Oの基調講演は残念ながら後者であった。特に今回は開発者やユーザーを刺激できる内容だっただけにもったいなかった。