Googleはというと、PC向けプラットフォームはChromeブラウザ/Chrome OSで、モバイルはAndoridだ。「HTML5 vs ネイティブアプリ」のような対立を腹の中に抱えている。Web企業であるGoogleにとってWebこそプラットフォームであり、Webアプリでクロスデバイスを実現するのが理想である。しかし、Webアプリで全てがまかなえる未来はまだまだ遠い。現実的なステップとしてGoogleがどのようにAndroidとChromeを融合していくかが開発者の関心事となっていた。
今回の基調講演でGoogleが示した答えは「Material Design」だ。伝統的に優れたデザインの原則と、新しいデジタル機器の可能性を融合した新しいデザインコンセプトである。大胆な色使い、効果的な余白、意味のあるモーションなどでユーザーを視覚的にガイドし、自然で継続的な操作性を実現する。
Googleは、現段階で「Android L」と呼ばれているAndroidの次期メジャーアップデートで、AndroidのユーザーインターフェイスデザインをMaterial Designに従って刷新する。公開されている動画や資料を見る限り、分かりやすく、生き生きとしたものに生まれ変わっているが、Material Designはモバイルにとどまらない。スクリーンサイズの違いに柔軟に対応し、またPolymerを通じてWebにも導入できるので、スマートフォンやタブレット、デスクトップ、TVなど、あらゆるスクリーンにMaterial Designは広がっていく。これをクロスプラットフォーム/クロスデバイスのアプローチとして見ると、共通した体験を提供するAppleに近い方法を採ったと言える。