こうしたアナログな見た目、操作を採用した理由について、野々上CEOは次のように語っている。

「現代はネットワークが普及したことで、負の側面が出てきています。たとえば歩きスマホやリベンジポルノ、SNSで既読スルーするとイジメにあったりすることから、スマホが手放せなくなってしまっている若者も多くなっています。そうした状況をリバランスするためのツールがヴェルト セレンディピティなのです」

スマートデバイスの発達により大量の情報が生活に持ち込まれ、情報に振り回されてしまった結果、様々な弊害を生んでいるのが現代という時代だと野々上CEOは述べる。しかし、ネットのない時代に戻ることはできない。ならば、情報の取捨選択を助け、時間の余白を生み出せるデバイスが必要なのではないか。ヴェルト セレンディピティは、そうした思いから生み出されたウェアラブルデバイスなのだ。

「ウェアラブルというとGoogle GlassやGeerなどのディスプレイ型が多いのですが、スマートフォンと同じ情報を表示してしまっては、やはり情報の海で溺れてしまいます。人がスマートフォンにハマってしまうのは、見る回数が多いから。たとえば誰かからの連絡を待っているとき、メールを立ち上げると、Facebookやネットもつい見てしまうといった具合に、"ついで見"をしてしまうのです。ヴェルト セレンディピティはメールやメッセージが届いたという通知、つまり"スマホを見るかどうか"というメタ情報だけを小型ディスプレイに表示しますから、"ついで見"を減らせるのではないかと考えています」