逆にソフトバンク側では、これまでグループ企業として「Yahoo! Japan」をポータルとする製品サービスを携帯事業でも展開してきたわけだが、Y!mobileの誕生によりこうした部分でのアピールが難しくなった。ライバルとなるNTTドコモとKDDIでは近年、自社発行のIDとそれに紐付いたオンラインサービスで差別化を図りつつあるが、ソフトバンクはこうした土台がYahoo!側に偏っており、改めて今後のポータルやオンライン戦略を練り直す必要に迫られると予想する。
もう1つの問題は既存ユーザーの扱いだ。サービスそのものが変化するわけではないが、ヤフーが親会社になったことにより変化する部分もある。例えば、同社は「第4の通信キャリアではない、日本初のインターネットキャリア」を目指すと発表しているが、緊急記者会見の囲み取材では「ウィルコムは過去の経緯から音声通話利用を中心としたユーザーが存在しているが、ヤフーでは音声ではなくデータ通信中心に考えていくとしており、相容れないのではないか?」という質問が寄せられていた。
もちろん、過去のユーザーを切り捨てるような方向にはならないが、今後は新規ユーザー流入とYahoo!利用に適した料金体系へと移行していくことで、ユーザーの対流が起きることになるかもしれない。