ソフトバンクモバイルは13日、基地局が重なりあったエリアで起こる電波の干渉を抑圧する、新技術に関する記者説明会を実施した。同社では電波という限られたリソースを有効に活用できる手段として、同システムの実用化に期待を寄せている。本稿では、同日行われたフィールド実験の模様なども合わせて紹介していく。

ソフトバンクモバイルは13日、LTE-Advanced対応 ネットワーク連携三次元空間セル構成技術について記者説明会を開催した

新技術の開発経緯と概要

説明会では、まずはじめにソフトバンクモバイル研究本部長の藤井輝也氏より新技術の開発経緯と概要について説明が行われ、続いて無線アクセス制御研究課の長手厚史氏、モビリティネットワーク研究課の岡廻隆生氏から技術の詳細な説明が行われた。

「スマートフォンの普及により、一般ユーザーが使用するトラフィック量は年率2倍で増加している」と藤井氏。単純計算では、2020年には2013年時点の200倍以上にまでトラフィックが膨れ上がる見込みだ。このため、通信事業者はLTE-Advancedや5Gといった「新たな無線インターフェース技術の開発」や、3.4GHz~4.2GHZ・6GHz以上を利用する「新たな電波資源の開拓」などによる対応が急務となってきている。そうしたなかソフトバンクが期待を寄せる次世代技術が、記者説明会で紹介された「新たなセル構成技術の開発」である。この実用化に成功すれば、現在の20倍~100倍のトラフィック容量が確保できるという。

登壇し、開発の経緯について説明するソフトバンクモバイル 研究本部長の藤井輝也氏(写真左)。急増するトラフィックへの対応が急務となっている