次にHP Slate7 Extremeのペン入力を見てみよう。ペン先の細かなタッチやなめらかな書き味を実現するには、通常「デジタイザ」と呼ばれる専用装置(センサーとペンの組み合わせが多い)が必要だ。しかし、HP Slate7 Extremeはデジタイザを搭載せずに、NVIDIA Tegra 4の「DirectStylus」という機能を利用することで、繊細なタッチを実現している。
専用ハードなしで滑らかに書ける「DirectStylus」の書き味は?
付属のスタイラスペンは静電式で、スマートフォンやタブレット向けの一般的なスタイラスと仕組みは同じだ。試しにほかの端末で使ってみたところ、かなり強めに押し込まないと反応しなかった。ペン先が細いため、「DirectStylus」非対応の端末では軽いタッチは認識できないのだろう。HP Slate7 Extremeでは問題なくペン入力できるので、タッチセンサーの感度が高いと思われる。
特徴的なのは、ペンの両端に2種類のペン先が用意されている点だ。片方は2mm程度のサインペンのようなペン先で、もう片方は断面が楕円形に切り落とされたような形をしている。楕円形の面がどれだけディスプレイに接しているかによって、描かれるペンの太さが変わる仕組みだ。アプリによっては、楕円形のペン先を消しゴムとしても使える。
ペン先が細いほうが細字用で、楕円形のほうが太字用。手に持つとやや短い気もするが、収納できるペンとしては標準的なサイズ |
ペン先は2mm程度で非常に細く、先端にはゴムのような素材が使われている。柔らかいため液晶ディスプレイに傷がつきにくい |
スタイラスペンを取り出すと、パームリジェクション機能が有効になるのもポイント。スタイラス利用時、手のひらが画面に触れてもタッチとして認識されないので、誤動作を防げる。
実際にスタイラスペンを使って描いてみたところ、先端がゴムなので多少のひっかかりを感じることもあったが、総合的な書き味は悪くない。ペンの動きと画面の描画の遅延は多少はあるものの、それほど気にならなかった。さすがにデジタイザ内蔵タブレットのほうがペン入力時の滑らかさは上だが、静電式のスタイラスでこれだけスムーズに描ければ十分だ。
手書きのイラストを作成できる付属アプリ「Tegra Draw」。ペン先を変えることで筆圧感知対応ペンのような表現力が出る |
手書きメモアプリ「Write」でメモを作成している様子。作成したメモは画像やPDF形式で出力可能だ |
全体的にペンの使い勝手は良好だが、あえて気になる点を挙げるとすれば、センサーの感度が良すぎて字が震えてしまうことだ。細かい字を書こうとしたときに線がスッキリと均一にならず、微妙に揺れてしまうのだ。おそらく筆者自身の問題ではないはず(と思いたい)。大きな字でダイナミックに書くのは問題ないため、使っているうちに慣れてくるかもしれない。
スタイラスペンで表示中の画面にメモを書き込んだり、手書きで指定した範囲を切り抜けるのも便利だ。仕事やプライベートでのちょっとしたメモに活用したい。